H21年9月19日(土)〜20日(日)大白森〜三ツ石山縦走 黒木隊長の詳解レポート


1 イントロダクション 〜 9/16例会 〜

 9月16日の例会でスケジュールの最終検討を行う。スケジュール当初案は次のようなものであった。

(当初案/19日・20日・21日の2泊3日)
滝の上温泉−(三ツ石山/関東森分岐経由)−八瀬森山荘(1泊目)−(大白森/鶴の湯分岐経由)−田代平山荘(2泊目)−(乳頭山経由)−滝の上温泉(以上、反時計回り)
 しかしながら、参加者の連休中のスケジュールの関係、天候激変への考慮、参加者の体力等々を勘案し1泊2日案が浮上。

(1泊2日案/19日・20日)
鶴の湯温泉−(鶴の湯分岐/大白森経由)−八瀬森山荘(泊)−(関東森分岐/三ツ石山経由)−網張側奥産道車止め(以上、時計回り)

 上記1泊2日案の場合、配車に工夫が必要となるが、次のとおりとする。
・橋本氏と黒木は9/18(金)の午後に奥産道車止めに向かい、橋本車をデポ。
・橋本ドライバーは黒木車に乗車し秋田市に帰還。
・出発当日の朝、橋本氏は会長の車に途中乗車し、集合場所である秋田市役所へ。

 白熱した議論(?)の末、1泊2日(案)が採用された。


2 山行記録/その1 〜 鶴の湯から「鶴の湯分岐」を経て大白森まで〜

 「大白森」と書いて「おおじろもり」と読む。標高1,216Mの高層湿原。とにかく広くて見晴らしがよい。まずは、大白森までが第一目標。天気はすばらしくよい。

・金取坂の前の緩斜面のあたりを中心に藪こぎを覚悟していたが、見事に刈り払いが行われていた。おかげで朝露に悩まされることもなく快調にこの区間を踏破。
・金取坂に水場ありと地図にはあるが枯れていた。この水場は期待できない(2年前の9月には湧き出していたはず)。 
・鶴の湯分岐で乳頭山からやってきた縦走路と合流。ここからは秋田・岩手両県の県境を関東森分岐まで進むこととなる。
・大白森まで樹林帯の中を進む。木漏れ日に夏の名残を感じる。ただし、縦走路の路面に泥沼状態の部分あり。油断禁物。
・小白森山を過ぎると、いったん下りが現れるが、その後急坂が現れる。心拍数があがり汗が噴き出す。この先に「楽園、大白森」があるぞ!と自分に言い聞かせて急坂を登りきると「楽園」が現れた。
・大白森に秋の風が心地よく吹き渡る。草紅葉が目に鮮やかだ。遠くには秋田駒から乳頭山そして岩手山も見える。
・ここでもっとゆっくりしたいところだが、これから登らなければならない曲崎山がまるで手招きでもしているかのようによく見える。休憩もほどほどにしてさらに先に進む。

 楽園でとりあえず一息つく。先はまだまだあるぞ。


3 山行記録/その2 〜 大白森から大沢分岐・大沢森を経て曲崎山まで 〜

 この区間、樹林帯が続く。大白森から大沢分岐までは下り坂、その後、長い登り坂が続いて大沢森へ。大沢森から鞍部を経て曲崎山へ。曲崎山(1,333M)の登りは心臓破りの急坂。

・大白森からまたもや樹林帯に入る。これから曲崎山の肩の部分まで樹林帯が続くことになる。
・相変わらずの夏を思わせるような日差し。樹林帯がこの日差しを遮ってくれていることは、樹林帯が時折切れた際の強い日差しを受けてみて改めて感じることである。しばらく下っていくと、大白森山荘に到着する。
・大白森山荘近辺に「水場あり」と地図にはあるが、水は枯れていた。ここでトイレ休憩をとり、大沢分岐へ。
・大沢分岐到着。「ここで昼食にしては?」という会長の提案があった。がっしかし、ここから長い登り坂が続くこともあり、昼食は大沢森にてということとなる。
・大沢分岐から大沢森までは長い登り坂。ボディブローのようにこたえる。下見(9/5曲崎山の山行記録を参照)をした筆者に対して一部参加者から「まだか〜(まだピークじゃないのか〜)」という声あり。「あともうすぐだ〜」と適当に答えたものの、答えた後の最後の上り坂がきつかった。
・大沢森到着。ここで昼食となったが思わぬ敵の襲来あり。ハエである。五月蠅(うるさい)とはよく言ったものだ。油断するとたかってくる。手で追い払いながらのせわしない昼食となった(大沢分岐での昼食の方がよかったかもしれませんな)。
・昼食兼休憩の後、次なるピーク、曲崎山に向け出発。鞍部を過ぎ、これから曲崎山の登りに取りかかろうとする地点に水場あり。水量はごくわずかで流れが乏しい。それでも貴重な冷たい水。ありがたみを感じながら飲む。
・曲崎山の登りはやっぱりきつい。メタボ殺しの登り坂。普段の不摂生が熨斗(のし)を付けて倍返しされているのを感じる。それにしてもこれほど苦しい思いをしたのに今こうして思い出しては再度チャレンジしたくなるのはどうしてなのだろうか、不思議なものだ。
・曲崎山到着。頂上は笹藪に取り囲まれ眺望がよくない。あいかわらずハエが五月蠅い。それにしても自分に余計にたかっているように思えるのは気のせいか?


4 山行記録/その3 〜 曲崎山から八瀬森山荘まで 〜

 いよいよ初日の行程の最後の区間。最後の八瀬森のピークを過ぎると八瀬森山荘が林の中から突如現れる。

・休憩も程々に曲崎山を下る。下ってすぐに笹藪の背丈が低くなり眺望が開ける。次のピークは八瀬森だ。地図で八瀬森の位置を確認。八瀬森山荘が見えるのではないかと期待したが、八瀬森の陰に隠れていて見えない。
・曲崎山の下山道は笹藪に覆われており、路面の状況が確認できない。慎重に歩を進める。曲崎山と八瀬森の鞍部はこれまでと一転。笹藪が背丈ほどあり歩きにくい。しばらく藪こぎが続く。
・藪こぎから解放された頃、八瀬森のゆるやかな登りが始まる。ここで疲労はピークに。ここを通り過ぎれば本日のゴールという思いがここでの心の支えとなる。
・八瀬森のピークに到着。八瀬森山荘まで800Mという道標あり。ゴールはあとわずかだ。あとは下りのみ。このときなぜか橋本氏が先頭にたっていた。
・山中の800Mは長い。「まだか〜」と思いつつ、歩を進めると、突如、八瀬森山荘の屋根が見えた。


5 山行記録/その4 〜 八瀬森山荘(避難小屋)にて 〜

 奥深い森の中にある八瀬森山荘での、楽しい夕食(宴会?)となった。

・八瀬森山荘には先着の方が2名ほどおられた。我々のパーティは2階に陣取ることとする。2階の全フロア貸切となった。宴会場も2階に設定。
・八瀬森山荘は縦走路に隣接している。縦走路を関東森方面に100M程度下ったところに湿原がある。湿原に隣接して水がこんこんと湧き出している。湧き水から溢れ出た水が小さな流れをつくり縦走路を横切っている。八瀬森山荘がここにある理由がうなずける。
・八瀬森山荘の設備は想像以上に充実していた。緊急避難用としてではあろうが、相当数の布団と毛布が用意されていた。さらに物干しワイヤーが天井に張られているのは大変にありがたかった。我々の陣取った2階は広く、宴会会場スペースの他、5人が大の字になって眠ることができるスペースも余裕をもって確保できた。トイレは2階にあった。2階に陣取る我々にとっては都合がよかった。
・水場から水をくみ上げ、夕食の調理兼宴会の開始となった。まだ午後4時台であったと思う。疲労していた我々の体内時計はもうこの時点で午後8時頃であったのだろう。何ら違和感を感じなかった。水場で急場しのぎで冷やしたビールがうまい。
・夕食メニューは、炊き込みごはん、マカロニミートソース、魚肉ソーセージを使ったキャベツの回鍋肉風。さらに途中で採取したブナハリタケの炒め物。お酒類は、ビールの他、ワイン、芋焼酎、ウイスキーが食卓に上った。
・宴会もほどほどに午後7時で宴会終了。就寝となった。

 快適な一夜を過ごした八瀬森山荘


6 山行記録/その5 〜 八瀬森山荘から関東森分岐まで 〜 

 山行2日目である。関東森分岐までは急峻なアップダウンもなく単調な樹林帯の縦走。後半部分に湿原地帯が現れる。曇り時々晴れといったような天候。昨日よりも肌寒い。秋の登山であることを実感する。

・日の出とともに起床。午後6時頃朝食。午前7時に八瀬森山荘を出発。昨日よりも肌寒い。
・100メートル下の湿原を横切り樹林帯の中へ。めぼしいアップダウンもなく、道はきれいに刈り払いされていて歩きやすい。朝のこの時間帯の樹林帯は心地よい。
・関東森到着。さらに東にむけて歩く。倒木が多いと地図にあるが多くの倒木がきれいに切断されており、倒木またぎ、または、倒木くぐりが回避できた。関東森分岐までの道のりは長い。なおも樹林帯の中を進んでいると、時折湿原が現れるようになる。
・見晴らしのよい切り立った崖っぷちにでる。秋田駒ヶ岳の他、昨日通り過ぎてきた大白森そして手前には同様のテーブルマウンテンの葛根田大白森が見える。さらに、遠くには青白く美しい鳥海山までも見えた。一方、これからの行く先の方角(東の方角)には、小モッコ山が美しく紅葉していた。
・さらに湿原を通り抜けると、八幡平から続く尾根筋が近づいてくる。尾根筋に向かっての登り坂がこの区間の最後の上り坂。登りきったところが八幡平からやってくる縦走路との合流点・関東森分岐である。
・関東森分岐では、大深岳から下ってくる幾人もの登山者が通り過ぎていく。いやに登山者が多いなと思ったがそれもそのはず、あたりは黄色と赤の美しい紅葉が一面に広がっていた。ここからは紅葉の山行となる。

 見晴らしのいい崖っぷちを過ぎると…

 湿原の真ん中を突っ切る道に入る


7 山行記録/その6 〜 関東森分岐から奥産道駐車場まで 

 八幡平から続く小高い縦走路を南に進む。小モッコ山にかかっていたガスも切れて晴れ渡り、2日間の縦走登山を締めくくるにふさわしい秋の紅葉登山となった。

・関東森分岐からは下りとなる。下ってすぐに登り返して小モッコ山(1,467M)へ。それにしても紅葉が美しい。太陽の光をふんだんに浴びた黄色や赤が山の斜面一面に光り輝いていた。
・小モッコ山の斜面は急峻であるが、曲崎山ほどの高低差はない。滑落や小石の落石に注意しながらゆっくりとペースを保って登れば難なく登れる。
・小モッコ山の頂上に到着。山頂からあたりを見渡す。紅葉は小モッコ山だけではないことがわかった。これから進む三ツ石山そしてその東方に広がる岩手山にかけてさらに一面に紅葉していた。
・小休憩の後、三ツ石山に向けて出発する。途中、1,448Mの三角点のあるピークに到着。昼食となった。
・昼食後、三ツ石山にむけて出発。三ツ石山への尾根筋の道は、見晴らしがよく、歩いていて爽快である。三ツ石山の山頂へと進む緩斜面を登る。緩斜面を登っているときに、三ツ石山頂上が登山者で鈴なりになっていることが見てとれた。
・三ツ石山登頂の後、三ツ石山山荘を経て、滝の上温泉方面に下る。途中、大松倉沢分岐があり右に曲がる。曲がってすぐに舗装道路に到着する。
・舗装道路は、途中車止めになっているため、車は一台も通らない。その舗装道路を30分強歩くと、終着点の奥産道車止めに到着する。

 小モッコ山にはガスがかかっていたが

 稜線を進むにつれてガスは消えてきた

 三ツ石山手前ではすっかりクリアになり

 岩手山までばっちり

 三ツ石山頂では360°ぐるりと見渡せた


8 山行記録/その7 〜 最後に 〜

 初日は夏山、2日目は紅葉の秋の山。そんな感じの山行であった。とにかくこの2日間天候に恵まれた。大変幸運であったように思う。
 さらに、笹藪の刈り払いや倒木の切断等、ありとあらゆるところに縦走路の保守にあたられている方のご尽力が見受けられた。縦走路の保守にあたられている各位への感謝の念をここに改めて表したい。

 最後に、今回の反省点を次のとおり掲げたい。今回のような山行がさらに充実したものとなるよう祈念する。
1 しお・こしょうは忘れるな
 採ったばかりの山の恵みのキノコの炒め物。「しお・こしょう」があればさらにおいしくなっていたという反省をこめて。次回は必携。
2 40リットルザックでは困難(個人的に・・・)
 ザックの重量バランスも考慮した山小屋宿泊仕様の縦走ザックとするためには、40リットルでは限界?さらに大きな容量のザックが必要か?
3 「田沢湖マラソン」開催日は避けよ
 できることなら、大規模イベントとバッテイングしないスケジュール構築がベスト。「鶴の湯」近辺、帰り際の46号線の田沢湖−角館間の渋滞を思い起こそう。


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