1993(H5年度)〜1996(H8年度)山行記録


H5年4月18日 乳頭山

報告

 まさか3人きりの山行とは思わなかったけれど…
 4月18日、3分ばかり遅れて集合場所に到着。川上さんがきているだけ。暫くして宮腰さんがきた。「きょうはこれだけ。」
 思わず「ええーっ!! あのー、小野さんはー?」
 「体の調子が悪いから行けないって夕べ電話きた。」
 ふぇーん。こころぼそいよー。とは言えないので黙って「そうですか。」
 日曜日であるためか、早朝であるためか道路は空き空きで、出発後1時間半ほどで登山口に到着。空はどんよりと曇り、こころなしかポツリポツリ来ているようだ。ええーん、雨になったらどうしよう?(若い頃二度ばかり雨の山行にあたっているので、あのやばちさはとても耐えられない。)それもカムバック一度目の山で雨だなんて!絶対にイヤだよー。などと思いながら支度をして、諸先輩の(といっても二人)あとを行く。ゲゲーッぐちゃぐちゃ道だ。新品の登山靴がよごれちゃう。と思う間もなくドサーッと道中雪。いや、道だけじゃない。見渡す限り雪だらけだ。ここはまだしっかりと「冬」の世界だ!!
 突然、昨夜のちいさいちいさい不安がガバーッと大きくなってきた。「行けるかな?登れるかな?」歩き始めてまだ何分もたっていないのに、疲れてきた。「今ならまだ間に合う。引き返した方がいいんじゃないかな?」と何度も思った。でもその言葉は一度も口をついて出ることはなかった。それほど私の中では登りたい気持ちの方がまさっていた。
 二人の先輩たちは、それとなく気遣ってくれた。何度目かの小休止の時、川上さんが「おめ、今こごさ一人置がいだらなんとする?」と言って脅かしたが、その言葉だって「そんなことはしないから安心して付いてこいよ」という優しい心の裏返しだってことを感じて心強かった。(現実に、この二人の先輩を頼りに行くしかなかった。)
 雪は深くて、歩を進めるたびにズブズブッと沈んだ。頂上に着くまでは、前行く人の足跡を踏んで、ただ黙々と歩いた、という感じだった。寒くはなかった。「一枝さんが言ったとおりだ。」と思った。
 避難小屋で早弁を食べた。じっとしているせいかじわじわと寒くなってきたが、頂上に向かって歩きはじめるとまた寒さを感じなくなった。動いているせいばかりではない。「ここまで登ってきた、もう少しで頂上を極めることができる!」という心の高揚が心ばかりか体までも熱くしているのだと思った。
 雪が少なくなってきた。背丈の低い植物に足を取られて歩きにくい。でも、頂上が近くなっているのだと思うと、嬉しくてうきうきしてくる。やっと頂上に着いた時は、本当に嬉しくて叫びたい気分だった。「やったー!頂上だー。夢にまで見た頂上だー!!」と。
 でも初めて同行した先輩たちがいたので、じっとこらえた。「なんだこいつ、変な奴だな。」とか「大げさな奴だ。」と思われるんじゃないかなと思って。
 岩にへばりついている氷をむしり取ってほおばった。いくつもいくつも食べた。「おいしい!」乾いたのどをうるおし、ほてった体にここちよかった。誰もいない山、誰もいない頂上というのは初めてだった。ただならぬ感動に全身が包まれた。
 帰りは転がるように、ザザザーッと降りてくるだけだった。先輩たちは登りのあの慎重さと心遣いはどこへ?と思うくらいどんどん見えなくなった。川上さんは時々、「だいじょうぶかぁー」といいながら態度はどうも…?(というのはじょうだんだって)おーい足首が痛いんだよーと言っても聞こえそうもないので、とにかく見失わないように必死で走った(という感じで)下りは早かった。
 やっぱり山の醍醐味は登っていく過程から頂上を征服するまでにあるんだなと実感した。
 帰りはゆっくりのんびり。手足を伸ばして温泉につかり、体も心もリフレッシュ! とっても楽しく、期待以上にすばらしい山行でした。(さよ)


H5年5月30日 乳頭山・大釜温泉コース(一般募集登山)

行程

秋田駅(6:15発)→大釜温泉(8:20/8:30)〜田代岱山荘(10:30)乳頭山頂(11:10/昼食/11:30)〜田代岱山荘(13:00)〜大釜温泉(14:00/入浴/15:30)→秋田駅(17:25着)

報告

 5月29日、朝、昼、夜と明日の天気が気になる。いよいよ30日の朝、「ヤッタ!晴れだ!」でも30人。
 私は朝5:50、駅前に着く。何人かの人が待っていた。6:00集合、6:15発。なんと一般の人も会員も時間どおり。
 大釜温泉前から8:30登山開始。時間どおり。40分ほど登ったら一人がバテバテで、「下山する」と言ったので、私が一緒に下山することにした。大釜温泉まで下ろして、私はまた登る。
 11:25ころから、「1班から5班まで頂上に立ち」と無線が入る。天気がいいから頂上でお昼にするという。私は何とか田代岱山荘にやっとたどり着いた。そこにはサポートのA子が横になって休んでいた。(人生いろいろだからな!) 山荘で1時間ぐらい待っていただろうか、みんなが満足げな顔をして下山してきた。
 山荘から30分も下山したところで、みんなが集まっている。「どうしたの?」「休憩だ」という。ほうー。
 日程より早く下山したので温泉に入ることにした。大釜温泉から3:30発。秋田駅前に5:30着。時間どおり。
 それから反省会。ふだん参加していただけない平塚さんも反省会に参加してくれた。11〜12人がいた。
 最後になりましたが、スタッフの皆さん本当にご苦労さん。特に小野さんにはお世話になりました。(会長・横田)

 私にとって乳頭山登山は初めて。そして今年になって初めての山登りでもあった。予定どおり6:15秋田駅出発。例年になく会員の集合時間が正確だったのが幸いしたらしい。会長も上機嫌だ。途中、思いもかけず川上さんが手を振っているのを見つけ、同乗させた。車の調子が良くないという。
 孫六に8:20に着き、予定どおりの時間に登山開始。班ごとの行動で抜いたり抜かれたり。それぞれの班で登るのが遅い人にリーダーが付いたりして力を発揮していた。一般募集登山なのだからみっともないことはしないように心がけよう、と思っていたが、「この花何ていう名前?」と聞かれたり、「あの山は何ていう山?」と聞かれたり、一般登山者は会員は何でも知っていると思っているらしい。「会員といっても、なったばかりだから何もわからないの」と素直に謝った。
 あまりによい天気なので、上のシャツを脱ぎ、水筒の水を休憩のたびに飲んだ。やはり山で飲む水は必需品と実感。
 分岐で昼食をとる予定が、あまり良い天気なので頂上まで登りここで昼食と写真をとった。北東に岩手山、北西に森吉山が雄々しくそびえ立っているのが見えた。森吉山があまりに雄大な美しい山に見え、一度でいいから登ってみたいとしみじみ思った。
 予定より15分ほど早い11:30下山開始。昨年の乳頭登山は天気に恵まれず頂上を断念して田代岱山荘前で昼食をとったと聞いている。昨年に引き続き参加して下さった登山者たちはこの度の登山にもさぞかし満足してくれたのでは… と思わずにはいられない。同じ山に何度登っても、同じ条件というのはまずありえない。だから何度でも登るのだろうなと思った。
 大釜着3:30予定が2:00に着。大釜温泉が工事中で使用禁止だったのは残念だったが、蟹場温泉、妙乃湯温泉とそれぞれ自由にたっぷりの時間、温泉に浸ることができた。3:30大釜温泉口に集合してバスに乗った。5:25秋田駅前着。
 時間に余裕があったし、けが人も出なかったし、今回の一般募集登山は大成功に終わったと思う。青空と新緑と残雪がうまく調和していた最高の山行でした。(船木)


H5年6月12日〜13日 高松岳〜虎毛山縦走

参加者

一枝、田口、武内、船木、吉田(5名)

行程

1日目 秋田市役所(7:15発)→湯ノ又温泉(10:00)〜黒滝展望台(10:50)〜水場(11:15)〜尾根(11:50)〜高松岳山頂(12:50/13:30)〜分岐(18:40)〜虎毛山山頂(20:30着)
2日目 虎毛山山頂(9:00発)〜赤倉沢(12:00)〜湯ノ又温泉(12:35)→秋田市役所

報告

1日目
 車で湯ノ又温泉前まで入る。しばらく長い林道が続く。山道らしくなってきた。少しして水場に着く。これから水がないということで、全員それぞれ2L水筒を満たし、また歩き始める。しばらくは尾根までのきつい登り。尾根に出ると展望が良くなる。振り返ると雪をいただいた神室山がとても素晴らしい。山頂までもう少し。残雪も見えシラネアオイも出てきた。少し疲れを感じる頃、山頂に着く。さっそく全員でカンパイ、昼食にする。泥湯から来たという数人に出会う。昼食休みはゆっくりできない。さっそく急坂を下る。
 しかしこれから長丁場が始まった。道はしっかりしているけれど、ササ道、残雪もある。登り下りを何回もくり返す山道。1時間おきくらいに歩いては休みを数回くり返す。ただモクモク歩くばかり。私が一番疲れ、遅れっぱなし。
 やっとの思いで分岐点に着く。全員安堵する。それから小屋まで、1時間以上かかったかな。雨が強くなりカッパ。暗くなってきたのでヘッドランプ。長いドロ道をだらだら歩く。風も強くなってくる。しばらくして、やっと「小屋だー!」という嬉しい声が、疲れてビリのおれの耳に入る。
 小屋を回って入り口を見つけ、全員無事に小屋に腰をおろす。みんなよかったよかった。安心した声と安堵の女性たちのカオ、田口くんのカオ、おれのツラ。みんな、いい顔だ。
 先客は5人。食事を終えている感じで、シュラフに入り、ゆっくりしている。私たちは2階に上がり、ビールでカンパイ!! 腹ごしらえもして少しいい気持ちになる。アルコールも入りダベっていると、下から、「ボリュームを下げて欲しい。」と声がかかる。見ると、10時ごろ。誰もいなければゆっくりできたのに、仕方がない。全員眠ることにする。
 疲れていたせいか、他の人はどうか、私は… 起きるまで眠った。
2日目
 先客全員、早く発つ。私たちグループは、ゆっくり起き、朝食もゆっくり。それから出立の準備をする。
 風と霧の中、小屋のすぐのところに虎毛山頂があった。天気が悪いので、湿原の池塘を見たいけれどやめて分岐点まで歩き始める。
 分岐でひと休み。赤倉沢への下りにかかる。長い下りっぱなしのきつい下り坂。ブナ林、ヒバ林指導標を通り、赤倉沢にかかる丸木橋を渡り、休憩広場に到着。ひと休みする。赤倉橋までの林道をナガナガ歩いて、やっと赤倉橋下。そして、108号線に飛び出る。
 これから車のある所まで3時間近くかかりそう。また大変な歩きが待っていると思っていたところ、本当に、女性の誰かさんがうまく車を止める。(よかった、うまくいった。)
 湯ノ又前まで車を回してもらう。本当に親切な運転手さん、ありがとうございました。そして、当然、湯ノ又温泉に入って打ち上げとする。(私には長い道のり、重いザック、足と肩の痛い山歩きであった。) (武内)


H5年6月27日 鳥海山・矢島コース(悪天のため登らず)

参加者

宮腰、鈴木、伊藤、平塚、吉田、石川、渡部夫妻(8名)

報告

 朝6時に市役所に集合。しかし天気が悪い。みんなで相談の結果、とりあえず現地まで行くことにする。
 8:45、登山口に到着。着いたと同時にどしゃ降りの雨になってしまった。私と鈴木さんが久々に参加したのがいけなかったのかも知れない。さすがに中年山岳会一同(約1名を除く)である。誰一人として登ろうという人はいない。という訳で温泉に行くことになった。
 9:45、猿倉温泉に着く。猿倉温泉は増設されていて、前々日にオープンしたとのことだった。
 10:00、とりあえず温泉に入らずに、今日の労(何の労?)をねぎらってビールで乾杯することになった。このビールが、汗もかいていないのに旨い。一杯でやめるつもりが酔うまで飲んでしまった。(酔ったのは男性だけです。)
 11:30、宴会が終わったところで、初期の目的の温泉に入ることとなる。温泉は、秋田のさとみ温泉に似ている。汗を流し、酔いを覚ます。
 12:30、天気が良くなってきたようだった。今日の登山は野点もする予定だったので、急遽、由利原高原で行うことになった。しかし、温泉から高原に行くにつれ、雨と風が強くなってきた。それでも、キャンプ場の東屋を使い、「お茶会」を行う。
 先生(吉田さん)のお陰で、十分に野点の気分を味わうことができた。(美味しかったです。)
 15:00出発、17:00市役所着。たまにはこういう山行(?)もいいと思った。みなさん、おつかれさまでした。(伊藤)

 「野点」… この趣深き響きと、懐深き「鳥海山」とに誘われて、いざ向かわんは祓川−。
 し、か、し、雨・雨・雨。それまで降ったり止んだりの空模様が、やっとたどり着いたと思ったとたん、どしゃ降り。それは気持ちのいい程の思い切りの良い降り方に、車中会議(渡部さんのワゴン車に8人集合)での意見はただ一つ。「まず温泉サ 行ぐべ。」「ンだな。」これですヨね。この決断力そして行動力で引っ張って行ってくれる諸先輩たちの一言一言に、ただうなずくばかり。
 そうしてこうして過ごした温泉での数時間プラス、この日のメインの「野点」。霧の中で行われた。
 あの時の空気の色。止まったかの様にゆったりと流れる時間。そこだけギコギコ切り取って、そっと持って帰ってきたかった。実際、ギコギコ切り取ることのできそうな色だった。…ミスティグレー、誰かが「水墨画の様。」と言った。「あ、そうだな。」と思った。
 そんな中で、茶杓ですくい上げられる抹茶の緑が目に鮮やかに映える。心に染み入る、染み入る…。
 各人それぞれが吉田さんの指導のもと、茶筅を握ると、みんな茶人(この言葉、「風変わりなことを好む人」という意味もあるそうな。「言い得て妙」と一人でうなずいてしまったりして。)の顔になってくる。
 渡部流あり、平塚流あり、伊藤流、鈴木流、宮腰流と一人一人個性あふれるお茶をいただく。おいしかったぁ〜っ!
 今回担当の吉田さん、本当にありがとう。お茶道具をリュックに、なんて今回が初めてでしょう? 丁寧に扱っている姿が印象的でしたよ。
 願わくばまたヨロシクね、と一人でつぶやきながら、そろそろペンを置きましょう。(石川)


H5年7月25日 鳥海山・矢島コース

参加者

川上、一枝、武内、伊藤、石川、渡部、船木、加藤(8名)

行程

秋田市役所(6:10)→祓川(8:10/8:30)〜賽の河原(9:10)〜七ツ釜避難小屋(9:52)〜氷の薬師(10:50)〜七高山(12:20/13:30)〜七ツ釜避難小屋(14:50)〜祓川(16:00)→猿倉温泉入浴→秋田市役所(19:40)

記録

 前日夜から雨が降り始め心配していたが、朝、目が覚めると雨はやんでいる。飛び上がりたい気持ちをおさえて集合場所に向かった。リーダーは川上さんで、新人の加藤さんをふくめ、伊藤さん、武内さん、一枝さん、石川さん、渡部さん、船木の8人山行である。由利町に入った頃から小雨が降り始めて「今日の登山者は少ないだろう」と思っていたが、5合目駐車場の満車に近い状態にはあ然としてしまった。皆登っているのだろうからとカッパを着込む。川上さんを先頭に加藤さんが続いた。歩いて間もなく、水芭蕉が群がっているのに気づき、歓迎してくれてるようで嬉しかった。
 どの位してだろうか。「ウワァ〜きれいっ!!」という声に後ろを振り向くと、ガスの切れ目から下界が鮮やかに見渡せる。青空も見える。晴れるかもしれないとの期待に、登る足も軽くなった。しかし、雪渓に続く雪渓。雪渓に慣れない加藤さんを一枝さんや石川さんが手をつないでサポートしている。山の仲間っていいものですね。
 いつの間にか雨も止み、舎利坂を登っているとお花畑が一面に広がった。七高山山頂が目の前に立ちはだかっているのに、あまりの美しさに目をうばわれて時を忘れて見とれていた。一枝さんに聞くと、イワギキョウ、イワカガミ、ミヤマキンバイ、イワベンケイ、イワブクロ、コバイケイソウ、シラネアオイ、アオノツガザクラ、コメノツガザクラ、チョウカイアザミ、ヨツバシオガマだという。よくもわかるものだと感心してしまう。
 頂上から見下ろした風景。あの真っ白な雲が眼下に広がり、青空をゆっくり動いていく様も絶対忘れられない。こんな時も山に登ってよかった!と思える時である。
 下山は、伊藤さんが加藤さんをサポートしてくれていましたっけ。
 猿倉温泉で湯船につかりながら窓越しに見る鳥海山。最高のぜいたくな気分だとつくづく思う。きっと下界では感じられない最高のぜいたくな気分を味わいたいから山に登るのかもしれない。
 武内さんに代わって帰りは渡部さんがワゴン車を運転。ハンドルさばきはたいしたものでした。解散前に食べたラーメンもおいしかった。川上さん、武内さん、ごちそう様でした。(船木)


H5年8月28日〜29日 神室山(悪天のため朝日岳から変更)

参加者

小貫、宮腰、槇野、川上、一枝、安河内(6名)

行程

1日目 秋田(7:00)→役内(10:45)〜第一ピーク(12:55)〜前神室山(14:10)〜神室山避難小屋(15:40着)
2日目 小屋発(8:15)〜神室山頂(8:40)〜御田の神(9:15)〜不動明王(10:00)〜第3渡渉点(10:05/11:00)〜第2渡渉点(11:40)〜第1渡渉点(12:00)〜役内(12:25)

記録

 役内、かなり強い雨。台風11号は朝、八戸沖付近とテレビではいっていたから、雨は上がるのではと期待したが… 雨具上下、足は地下タビ、いざ出発。眺望がよいとのことでパノラマコースを選ぶが、雨、雨。水場が小屋までナシということで、やや汚れているが流水で各自水補給。Tシャツだけなのに、やはり暑い。30分ほど我慢して雨具を着ていたが、小降りだし、脱ぐ。しかし、また横なぐりの雨。そして時おり陽がさしたり、周りの山は見えるが、晴れてくる気配なし。昼食は、あやしい天候ゆえさっと済ませ、黙々登る。まだ第一ピーク。私には、未だに登りの時の呼吸法ができず、すぐ乱れる。疲れる。登れど登れど未だ登り。苦しい〜。
 見上げると「ざんげ坂」の看板。私は毎日がざんげ。ゆえにこんな坂いいのにとうらみ、やっと第2ピーク。
 尾根に出ても風雨収まらず。前神室分岐、ガスで全く視界ナシ。先頭10メートルほど歩き、「いやいや違う。」地図を出し「こっちだこっちだ。」ガスは本当に怖い。道はわかるがヤブこぎ。とたんに下半身ぬれ出す。
 神室山頂、視界ナシ、しかし小屋まであと500メートル。何となくほっとする。
 小屋だ。よく雨の中、5時間ほど歩いた。2週間ぶりの山歩き。条件よくなく、本当疲れた。皆すぐ雨具干す。私もセーターを着込み、その他着替えるが、雨の中、体の芯から冷えたのか、なかなか暖かくならない。
 さあ、待望の夕食。小貫さんの主婦顔負けのふっくらおいしいごはん炊き。そしてすき焼き。お酒少々足りないが、和気あいあい、たのしくごちそうさま。早々に就寝。しかし、20:00、4:40と2回トイレに起きてしまった。全くガスだけ。こんな時、外のトイレは本当、怖い。
 7:00頃からガスが流れ出し、「青空だぞー」の声に外へ。サーと周りの景色が見えてくる。台風一過だ。神室山頂からは、昨日は全く見えなかった神室連峰、虎毛山、高松岳、焼石岳、山形県側の街、登ってきた役内口等、360度の展望。最高、最高。下りは西ノ又コース。胸突き八丁坂を一気に下り、不動明王の水場。実においしい水。
 第3渡渉点で一服。本当に気持ちのよい清流。第2、第1渡渉点の吊り橋は、ちょっと足がすくんだが、なんとか渡れた。もうリンドウも咲いていた。ほかたくさんの可憐な花。よかった、来て。台風のため、朝日岳の沢登りはできなかったけど、神室山、とてもよかった。Tシャツと雨具はちょっと薄すぎたかな。でも地下タビは正解だったような気がする。一緒に登ったみなさん。本当にありがとうございました。(安河内)


H5年8月29日 森吉山

参加者

横田、伊藤、船木、さよ、石川(5名)

行程

秋田市役所(6:00発)→ブナ帯キャンプ場(8:20/8:30)〜水場(8:50)〜石森(9:50)〜森吉神社(10:10/10:25)〜避難小屋(10:40)〜山頂(11:45/12:30)〜ブナ帯キャンプ場(14:00/14:20)→せせらぎ温泉で入浴→秋田市役所(18:20)

報告

 8月25日の例会には、向かう車の中で娘が突然吐いて急遽帰宅したため出られなかった。でも、前回の例会でも参加しない旨、意思表示していたし、「ヤブこぎの朝日岳なら行かない。」と決めていたので、例会欠席も、「ま、いっか。」
 すっかり行けないつもりでいた矢先、日帰り組は森吉山に変更になった旨、石川さんから電話があった。即、「行きます。」と返事したものの、当初行かないつもりでいたので、子どもを預かってもらうところを決めていない。考えた末、某友人に「日曜日、急におとうさんと仕事に行かなきゃならなくなってしまって、」と言って頼んだ。正直者の私は、ちょっと心が痛んだが、楽天家の私が「ま、いっか。」と、心を決めた。
 当日は、遅刻者もなく出発、天気も上々、参加人数もちょうどよく、幸先良さそうだ。不安げにやっとたどりついた登山口には「森吉山県立自然公園案内図」があり、それを見る限りでは、なんかすぐ山頂に着きそうだった。「こう行ってこう行けばすぐじゃない。」「そうだね。すぐだね。けっこう近いじゃない。」と女どもは好き勝手なことをいっている。
 しばらく平らな道で。「お、ラッピー」とか思っていると突然急な登りがはじまった。ときどき、「おーい、わたなべさーん。」という声がする。「はーい」と、荒い息の下から返事をすると、「ん、その声じゃまだ熊に食われてないな。」と鼻先でせせら笑ったような声が聞こえる。
 途中で、鷹巣小学校の先生と、生徒の一部に出会う。「一ツ森はもうすぐですよ。」と言われたら、がぜん元気が出てきた。一ツ森、と呼ばれていた「石森」からも360度見渡せて、とても気持ちよかった。「あそこが頂上だ。」と言われてみたそこは、まるでなだらかで小高い丘のように見えた。思わず「わあー、まるで丘みたい。」と言ってしまったら、隣で伊藤さんに「フフン!」と笑われてしまった。(まずいっ! 伊藤さんには、リタイヤした乳頭山の時もこの間の鳥海山の時も、最後までサポートしてもらって、ついには見限られたんだっけ! その落ちこぼれの私が、こんなえらそーなこと言っちゃったら、やっぱり「フフン」になっちゃうよね。)
 記念写真を撮って、森吉神社にお参りして、避難小屋を見学。女性3人はすっかりここの小屋が気に入って、「ここで泊まってみたい。」とか「ここなら一泊登山もいいよねー。」とか言っていた。草花を観察しながら、次の避難小屋も見学、そこから頂上までは、本当に「丘」を歩いていった、という感じだった。だから、草花や景色をじっくり楽しめながら登れた。「森吉山って、ほんとに優しい山だなぁー」とうれしくなった。(横田さんは二往復もしないと物足りないようでしたが…)
 頂上は鷹巣小の子どもたちも下山して、日曜日だというのに二人連れの女性が写真を撮っているだけ。この人たちをのがしたら私たちの記念写真を撮ってくれる人がいなくなっちゃうと思って、あわてて頼んで頂上での記念写真を撮ってもらう。ウーン、感激の一瞬!!
 今回の山行は楽しかった。AYHでの山行は4回目だけど、厳しい山も楽しかった。でも、今回のような優しい山もスキ。これからも、いろいろな人たちと、さまざまな山に会いに行きたい。
 今回の収穫、1 石川さんの優しさを発見したこと。2 船木さんと私の類似点を発見したこと。 3 「苦手だー」と思っていた横田さんの見方を変えて好きになったこと。 4 伊藤さんの意外にかわいい笑顔を見つけたこと。(これは、あくまで私の主観です。気にしないでください。) 行動を共にするごとに、一つひとつステキな面が見えてくる。また、次の山行でも山の魅力と仲間の(あえてこう呼ばせてー)魅力に会いたい。(さよ)


H5年9月26日 栗駒山

参加者

横田、滋郎、伊藤、一枝、川上、武内、船木、吉田、畑沢(友人)、佐藤(友人)(10名)

行程

秋田市役所(6:20)→須川温泉(9:05/9:25)〜名残ヶ原(9:45)〜昭和湖(10:15)〜湯浜分岐(11:00)〜栗駒山頂(11:20/11:30)〜湯浜分岐(11:45)〜途中昼食35分間〜昭和湖(13:00)〜名残ヶ原(13:20)〜須川温泉(13:35)→とことん山温泉で入浴→秋田市役所(18:30)

報告

 3ヶ月ぶりの山行とあって、栗駒山は前々から楽しみにしていた。おととしの紅葉真っ最中の高松岳に続いて、秋の登山は二度目。畑沢さん(同僚の妹)、佐藤さん(その友人)もこの日を待ちに待っていた。
 当日は雨あがりの静かな朝を迎えたが、深夜の雷、午前2時からの大雨のため、ほとんど眠らずに行くことになった。
 湯煙上がる岩場が、須川温泉の登山口。赤い橋を渡って少しずつ歩くたびに、目を見はる景色が展開していた。蒸風呂小屋(おいらん小屋)を興味ありげに一人一人のぞいた後、名残ヶ原の湿原に出た。まっすぐ続く木道をカタコト音を立てて進むと、一枝さんが誕生した年にできたというエメラルド・グリーンの昭和湖に出た。
 ここから湯浜の分岐までがきつい上り。たちまち息切れがして。立ち止まらずにはいられない。木の階段で膝に手をついてよろよろ歩き始めた頃、後ろの小学生の女の子が先生に「あとどの位?」を連発していた。こんな小さな子も歩くのか…
 −おばさんも歩かねば−と自分に言いきかせ、大人の膝以上に高い階段を子どもの歩幅でよじ登るのはかなり大変なんだろうナ… と何となく考えて進んだ。
 よっぽどしんどい顔をしていたせいか、行き交う人たちが口々に「ここまでくればあともう少しだぁ〜」と言ってくれるのはありがたい。
 分岐あたりで小雨が降り、ガスに覆われ、見えるものは人ばかり。頂上までぎっしり列をなして歩くのみ。もう、くらくらめまいがして、眠たさで目は半分おちてくるし道にも外れそうになってきた。やっと頂上着。
 何も見えないから、また来なくちゃと思い、すぐに下山。途中で天気の晴れ間をみて昼食。さっとガスが引けた時に見える紅葉は見事だ。
 山に行く前は、十分休養をとらなければならないということを、つくづく思い知らされた山行だった。とことん山の露天風呂もすばらしく、遠出をしたはずなのに。一日いっぱい、ゆっくり過ごすことができた。(吉田)

 9月26日、久しぶりにAYH山岳会の山行に参加した。栗駒は2年ぶりである。6時市役所集合とのことだったので、いつになく早めに自宅を出て定刻の5分ほど前に到着。会員は誰もまだ来ておらず、一般の同行者2名が車で待機していた。定刻を10分ほど過ぎた頃からボチボチ会員が、今来て当然といった感じで集まりだし、いつもと変わらぬ時間感覚で6時20分頃全員集合。即出発。
 秋田自動車道に乗り一気に横手まで入り、途中十文字でビールを補給し、湯沢市から398号線に折れて須川温泉に向かう。9時ちょっと過ぎに現地に到着した。休憩の時間を入れても所要時間2時間40分。カネもかかったが、高速に乗った分時間を獲得したともいえる。正に、時は金なりと思った。ということは、金持ちは長生きができるし、長寿の人は金持ちということになるナー。でも、私のおばあちゃんは94歳になってもいたって元気だけど、金は全然ないよナー。
 9時25分行動開始。天気予報では、回復基調とのことであったが、いまひとつはっきりしない天候である。山肌は既に色づき始めており、錦織りなす壮大なキャンパスを期待し、足を進める。予想通り上は紅葉が鮮やかさを増していて、我々の目を楽しませてくれる。
 青空の下の紅葉こそ、そのコントラストも一層強調され美しさが映えることから、天気の回復を願ったが、上にあがるにつれ、雨がぽつりぽつりと落ち始め、風も強くなってきた。体が濡れて風に吹かれると体感温度は下がってしまう。寒さを感じながらの登頂となってしまった。この寒さでは頂上には長くはいられない。即、下山。
 稜線を下り、風の比較的弱いところを選び昼食。回ってくる一枝さん、船木さんからの煮物や漬物に舌鼓を打ちつつ、自分はいつも梅干しとアンズそれにカップラーメンだけでつくづく食生活が貧しいナーと落ち込んだのである。
 食後はドンドン下山。昭和湖も素通して、まるでドンドン太鼓を叩くようにドンドンドンドン下りてきた。あとは、温泉だけが楽しみ。須川温泉は混浴なので、スゴーく入りたかったが、山と同じで超満員。残念ながら他を探そうということになり、結局とことん山のキャンプ場の風呂を利用することになった。自分は初めてであったが、とても整備された雰囲気で評価できるキャンプ場であった。風呂は露天風呂で、温泉もきれい。樹木に体が溶け込んでいくような錯覚におちいる。なかなかの造り!名湯である。ただ、女性とのエリアが峻別されていて、それがトテモトテモ残念だった。
 風呂あがりのビールもこれも又旨い。運転を会長と武内さんに任せることで、我々の望みはかなえられた。
 飲むほどに陽気になり、酔うほどに口が軽くなっていく。思わずピッケルの原稿は私が10月1日までに仕上げましょう!まかせなさい!と無責任な発言をしてしまった。お陰で、ピー担の船木さんから原稿マーダ!?と、「10月12日までは何とか郵送します。」などと又々その場しのぎの発言。
 原稿が出来上がったのは10月13日の夜でした。今回ピッケルの発行が遅れたのは、船木さん、石川さんのせいではありませんので、ここでお詫びかたがた、ご報告申し上げます。船木さんゴメンナサイ。(滋郎)


H5年11月3日 高松岳・山伏岳

参加者

宮腰、滋郎、近藤、一枝、船木、遊佐、武内、石川、田口、小南、千田、鈴木さんの友人2名(13名)

行程

秋田市役所(6:20)→十文字・小南さん(8:15)→泥湯温泉(9:30/9:40)〜水場(10:45)〜石神山分岐(11:30)〜高松岳小屋(12:10/14:00)〜山伏岳(15:15)〜河原毛(16:00着)→温泉入浴(17:00/18:00)→十文字で夕食→秋田市役所(21:10)

報告

 前回の登山に参加したく、休みの希望を出したら、上司に「休みは会社が与えるものだ」と言われ、泣く泣く諦め、高松岳こそはと会社にウソをついての参加。少し心苦しいけど、気持ちはルンルン。
 登山口で準備を整え、いつでも登れるという状態の私に、田口さん「着すぎでねっすか?」と一言。寒いのが嫌いな私はとても不安でしたが、一枚脱いでリュックに入れいざ出発。
 20分も歩かないうちに汗だくになり、もう一枚脱いで歩いたら、ちょうどいい感じで登ることができた。田口さんありがとうございました。
 どれくらい歩いた頃か、右側に山小屋が見えて来た。滋郎さんが「あそこで休むんだよ。」と教えてくれた。まだまだ歩かなければならないのか…と考えたら、元気がなくなった。が少し歩いたら下にうっすらと雪が積もっていて、少し目を上に向ければ白樺(?)空は青空、頑張って登ろうと思った。
 やっと山小屋へ着いて昼食。すごくお腹が空いていた。一枝さん、船木さん、石川さんが持ってきてくれた材料での豚汁は、とてもおいしかった!! しかも冷えた体を暖めてくれた。ウイスキーおゆわりもバツグン!!
 頂上まで登ってみた。すごく景色がよく思わずバンザーイ、いや「ヤッホーだよ」と石川さんに言われて照れ笑い。エヘ
 下山はとても辛かった。膝は痛いし、体は日頃運動不足のせいか、だるい。
 泥湯温泉に入ったときは「天国じゃあ〜」と一人言。とても充実した楽しい一日でした。皆さんありがとうございました。(千田)


H5年12月19日 房住山

参加者

一枝、武内、平塚、渡部(4名)

行程

滝ノ沢登山口(9:00)〜台倉の坂(10:00)〜頂上(10:35/11:30)〜滝ノ沢登山口(12:30)→小倉温泉入浴後解散

報告

 昨日まで降り続いた大雪もやみ、久しぶりの快晴だが、雪の深さが気になる。午前8時に平塚宅近くの交差点に集合、参加者は秋田より渡部さん、一枝さん、男鹿より武内さん、琴丘町より平塚の4名。ちょぴり寂しい。
 渡部さんの車に便乗していざ出発。30分ほど走ると、琴丘・上小阿仁村線沿いに滝の上コースと滝ノ沢コースがあり、滝の上コースを辿ると1番から33番観音像を見ることができるが、今回は途中で8番観音像へぶつかる滝ノ沢コースを登った。
 林道へ入る手前で、房住館(休み屋)のおじさんが雪かきをしていたので、登山口を確かめると、「今、登らたすか?」と不安そうな感じだ。林道を4キロほど入ると車3台分ほどの空き地があり、登山道の案内板があった。辺り一面白い雪景色に青空、シーンと静まり返った中に私達4人だけである。一枝さんを先頭に、急斜面をジグザグに登り始める。キュッ、キュッ、と新雪を踏む足音がなんとも心地好い。20分ほど登ると凹地になっていて、水場と東屋があり、キャンプもできそうだ。小休止して渡部さんを先頭に歩き始める。稜線へ出て滝の上コースに合流してからは、平坦な尾根が続く。渡部さんが、「俺を先頭にすると走ってしまうよ!」と言ったかと思うと、どんどん走り出してしまい、もう姿が見えなくなってしまった。どこまで行ってしまったのか、呼んでも返事が返ってこない。一人で雪山を満喫しているらしい。
 まもなく急坂(台倉の坂)にかかる。地元ではババオトシの坂といって、雪のない季節には草や蔦を頼りに急坂を真っ直ぐ登っていくとスリル満点で面白いのだが、今は雪に埋もれて危険なので迂回して登った。あとは、秋田杉、ブナの林の中をのんびりと30分ほどで頂上である。
 現在、房住山頂上に展望台を建設中で、残念なことに台倉の坂を過ぎて間もなく、登山道がザックリと3カ所にわたり削り取られ、頂上には工事用機械が2台置かれてあった。文明社会へ引き戻されたようで興醒めである。だが、展望は良く、森吉山、太平山、真山など一体に眺めることができた。3体の石仏にお尻を向け座り、私達は早めの昼食をとった。
 帰り際に気持ちばかりのお供え物(ミカン1個)を置いて下山した。私達を心配そうに見送ってくれたおじさんに挨拶してから帰ろうと房住館へ入ると、しめ縄を作っている人たちが昼食をとっていて、ほんのりと日焼け顔のおじさんが鍋があるから休んでいけと誘ってくれたが、丁寧にお断りして帰ってきた。「頂上まで行ってきたのだがぁ? どうであったすか?」おじさんは余程嬉しかったのだろう。私達4人はその日集まった老人会の人達の間で大きな話題になったに違いない。(平塚)


H6年7月24日 鳥海山・鉾立コース

参加者

小貫、滋郎、一枝、渡部夫妻、針金、滋郎さんの友人3人(9名)

報告

 久しぶりの鳥海山である。鉾立駐車場に着いたときは、上は既に空き無し。下の駐車場に車を止めて、いざ出発!
 登山道は、団体さんの列が下から上までずらりと並ぶ。歩く速さはゆっくりとマイペースで登ったつもりだが、賽の河原に着く頃は足がモツれ気味になっていた。残雪と雪解け水で元気を取り戻して出発。御浜、御田ヶ原と進み、千蛇谷に入る。
 ここからがいつも一番苦しみの所である。今日もまたじわりじわりと苦しさが増してきて、とうとう神社直下あと20〜30メートルという所で足がけいれんし始めた。曲げても伸ばしても太ももがコチコチになってしまったのである。しばし、休憩をとり、神社に着いた時には、皆さん食事中であった。
 約1時間ほど休み下山。今日は、ペットボトル2本分4リットルの水を飲んでしまった。皆さん、夏の登山は水の飲み過ぎに注意しましょう。(小貫)

 やっと、やっと念願の鳥海山に登ることとあいなった。と言うのは、私は象潟の生まれだ。海と山と史跡のまち、いい所だ。「目の前の山なんかいつでも行ける。」と思っていて44歳になった。
 妻が1年前、鳥海山へ行かないかと言ったのがきっかけであった。「そうだな、いつでも行けると思い込んでいて、いままで登ったことがなかった。よし!行くぞ!仕事よりもまず鳥海山だ。」となったが、当日は大雨で中止、由利原高原で野点をして、それはそれでおもしろかった。次の時は、残念ながら仕事で参加できなかった。妻の話では、難儀して頂上まで登った由。「くっそー!よそ者の妻に先をこされてしまった!」それが縁で藤倉の忘年会にも参加し、AYHに「おしかけ入会」して、1年あまりの付き合いになった。
 さて、前置きはこれくらいにして、今回、私は鳥海山に登るために次のことを目標にした。
 1 登る時間チェック 2 高度計チェック 3 温度計チェック
  朝6時市役所 0メートル 25度(よし)  5合目鉾立 1,150メートル 25度(よし)
 鉾立にはバス数台、マイカー数十台で、駐車場いっぱいだ。晴れ、風ひとつない。歩き始めてガスがかかってきた。晴れたりガスったりという一日だった。周りの景色がよく見えない。御浜までは渋滞。小学校の団体がいくつも登っていたせいだろう。しばらく登ると、「前がつまっているので少し休憩してくださーい。」と言われる。
 御浜からは小学校の団体もいなくなり(御浜が目的地らしい)順調に歩きはじめる。でも、でも… (どうして「でも、でも」なのか?想像してみてください。)そうそう、御浜付近で、ニッコウキスゲの群落を見る。すごい!すごい! ここらからは高山植物のオンパレードだ。ハクサンイチゲ、イワベンケイ、キンポウゲ、コバイケイソウ、トウゲブキ、シロバナトウウチソウなどなど。
 扇子森、八丁坂を通って、千蛇谷に着く。そこの部分にだけはまだ雪渓が残っていた。そこの大きな岩下で、雪解け水を見つける。たらふく飲んで水筒にも詰めた。(ハリーこと針金氏は水筒で3杯も飲んだとか)
 途中1時近くなり、みんな腹が減り、道ばたでにぎりめし1個ずつ食べた。
 大物忌神社着 1時15分 23度 登り始めてから4時間30分。そこで豚汁を作る。おいしかったー!
 食事後、有志数名で新山へ。神社からは岩にペンキで印がついていて登りやすかった。やった!やったぞ!ついに、やっと鳥海山というものに登ったぞ! 周りは残念ながら、ガスがかかっていて見えなかった。まるで「これっきりで終わりにはさせないぞ」と言うように 、ガスのカーテンをかけて、素晴らしいだろう頂上からの景色を見せてはくれなかった。念願の山は「また来いよ。そしたら見せるから。」と言っているようだった。
 帰りは外輪コース。行者岳2,159m 20度 3時46分 この時はガスエアコンが効き、すごく涼しい時があった。下から上へガスが上がってくる。風と共に。文殊岳2,006mを回り、八丁坂付近でも高山植物のオンパレード。そこに滋郎さんが肥料をまいてきたので、来年は特別高山植物が生まれるのでは?と、もっぱらの噂だった。
 御浜(4時40分)では、上まで登らないでスケッチをしたりその辺の散策をしたりして待っていた妻と子ども2人が、「あまり来ないから、置いて行かれたのかと思って心配してたんだよ。」「みんなものすごく疲れた顔してるよ。」とホッとしたように言っていた。少し休憩してすぐ出発。鉾立着6時。大物忌神社から3時間30分。
 結果報告。高度計が約400m違っていた。どうしてかな? 今回は全部失敗だった。高度計、温度計の測定方法を教えてください。(渡部)


H6年9月10日〜11日 八甲田山・酸ヶ湯から大岳周回

参加者

滋郎、一枝、石川、船木、渡部、小野、安河内、遊佐、藤原(9名)

行程

1日目 秋田市役所(11:10)→鷹巣で昼食→碇ヶ関IC→黒石IC→酸ヶ湯キャンプ場(16:25着)
2日目 酸ヶ湯キャンプ場(7:45)〜仙人岱(9:05/9:20)〜大岳(9:55/10:15)〜下毛無岱(11:20/昼食/12:15)〜酸ヶ湯(12:45)→谷地温泉(13:00/14:20)→秋田市役所(20:00着)

記録

 1年ぶりの登山。体力的に全く自信がない上、いつもは後ろの席でグースカ寝ている私が、運転することになってしまった。しかも高速道路なんて運転したことが一度もないというのに… キャンプ場に着いたときは、もうぐったりして夕食後は早々にテントで寝てしまった。
 八甲田登山も想像通り30分も登るともうゼイゼイの息。頂上近くになっては、見かねた一枝さんが、手を引いてくれ、やっと頂上という有様。けれど、下山時は少し景色を楽しむ余裕が出てきて、やっぱり山はいいなあ… と再確認をする。
 周りの人の足を引っ張らないためにも、日頃の体力作りが必要だと実感した次第です。(小野)

 八甲田に行くことになった。ぼくにとっては、AYHに入会して初めての山行。メンバーは、一枝さん、石川さん、渡部さん、船木さん、滋郎さん。小野さん、青森から安河内さん、遊佐さん、それにぼくと総勢9人の大パーティ。当初参加予定の武内氏は風でダウン。針金氏は仕事の都合がつかずキャンセルといささかさびしいスタートになった。3台の車に分乗して、5時間の道のりを一路八甲田へと向かう。
 長いドライブを終えて酸ヶ湯のキャンプ場に着いたのが午後4時。ブナの林に囲まれた感じのよいキャンプ場だ。管理棟には大きなセントバーナードが2頭つながれている。人なつっこい犬で、我が家の駄犬のように人にほえついたりしない。思わず近寄って頭をなでてやる。ぼくより体重のありそうな奴が、ダラダラよだれを流しながらゴロリと腹を上に出し、服従の姿勢を見せるのがなんとなくおかしかった。
 そうしているうちに遊佐さんと安河内さん到着。さっそくテントを張ってキャンプの準備にかかる。船木さん持参のテーブルを囲むように、木の切り株と板でベンチをつくる。急ごしらえではあるが、至極快適なキャンプのできあがり。その日はとなりのキャンプからの飛び込み2名も加わって「そいだっきゃまいねまいね。」と津軽弁も飛び出し、楽しい酒宴となった。
 朝5時に起きる。「いびきで迷惑かけるから。」と一人車の中で寝た滋郎さんを起こしに行く。前日のしゃぶしゃぶのダシの出たのこり汁に、うどんとみそ汁の素を入れて、煮込みうどんの朝メシ。ゆっくり時間をかけて食事をとったので、歩き始めたのは予定より少し遅れた7時45分だった。
 心配していた天気もとりあえず問題なく、暑からず寒からずの気温にほどよい風。快適な登り道をたどり、一汗かいたころ仙人岱に着いた。この湿原の中には、井戸のような水場があって、木の枠で四角く囲まれた中からはこんこんと澄んだ水がわいている。口に含んでみると、適度に冷たくほんのり甘みがある。これは旨い。みんなで水筒の水を詰め替えにかかる。
 大岳の頂上では、ふっとばされそうな強風にさらされた。今回でAYHの山行が最後となる滋郎さんのために、ワインの栓を抜き乾杯しようとするも、カップにつがれる前にむなしく空に飛ぶありさま。何とか乾杯をすませ、クラッカーを鳴らして記念写真を撮ったあと早々に下った。
 下り途中の毛無岱は、何とも美しいところだった。上と下の2段に別れた広い湿原からは、南八甲田の山々から津軽平野の果てまで見渡せる。今回の山行でもっとも気分のいいこの湿原でランチタイム。3台のEPIでお湯を沸かし、カップラーメンとお茶で体を温める。時刻は11時30分。
 「天気予報で昼から雨になるって言ってるよ。」と滋郎さん。でも、ここから酸ヶ湯までは1時間もかからない。大丈夫でしょうとゆっくりなごんでいた。ところが12時を回ったころ、雲行きの怪しくなってきた空からぽつぽつと大きな雨粒。一同荷物を片づけあわてて出発。間もなく雨は本降りとなって、半分濡れた体に雨具を着るはめになった。しかし、このあとは温かい温泉が待っているので、我々は余裕たっぷりに雨の八甲田を楽しむことができたのである。
 谷地温泉は、東北の典型的なこじんまりした湯治の宿だった。酸ヶ湯はあまりに有名すぎ、人がいつもいっぱいでゆっくり湯につかってもいられないが、ゆったりとしたこの温泉は、山の疲れを流すには最高だった。運転手だというのについ眠くなってしまうのもしょうがない。宿の食堂で湯上がりのジュースをいただき、しばしなごみながら「5時間のドライブはいささかつらいなあ」と、ぼんやり考えていた。そういえばまた明日から仕事がはじまる。そう考えると気が重い。ということで早くも次の山が今から待ち遠しくなってしまう。おねえさんたちの湯上がりを待ちつつ、帰りのルートを奥入瀬十和田経由と決める。きれいなところを通るのだが、時間もないのでゆっくり行けないのが残念でもある。
 さあ行こう、と気合いを入れた我々は、青森組が帰るのを見送ってから、車に乗り込み、長い家路へつくべくエンジンをスタートさせたのだった。(藤原)


H6年9月25日 小白森

参加者

槇野、一枝、渡部夫妻、石川、平塚、吉田、藤原(8名)

行程

秋田市役所(6:15)→鶴の湯(8:15/8:35)〜小白森(10:35/11:05)〜鶴の湯で昼食→秋田市役所(18:05)

記録

 9月25日、小雨。5時55分市役所に着くと、ベテラン登山家の新人、藤原さんがぽつんと立っていた。そこへ吉田さんがお父さんと共に到着。吉田さんはお父さんに顔立ちがよく似ている。6時5分過ぎ全員集合し、渡部さんと藤原さんの車2台で出発する。
 田沢湖町に入っても雨は降り続き、渡部さんの車に集合して相談をする。「雨も降っているし、国見温泉あたりでのんびりと…」という女性陣に対して、「大丈夫、登るよ」という男性陣。車は鶴の湯登山口へ到着したが、雨はまだ降り続いている。「この雨じゃ道も悪いし、どうする?」「登るよ!」「…」。全員、完全防備をして、さあ覚悟を決めて登るぞ! 槇野さんを先頭に登り始めるが、笹が道を画して足元が見えにくい。笹をかき分け進みが、その笹が顔に当たってチクチクする。私は槇野さんと吉田さんの後を必死でついていった。…と思っていたのに、ふと気がつくと、うっそうと茂った笹の中に誰の姿も見えない。前を見ても後ろを見てもだれもいないではないか。「おっ、おーい吉田さ〜ん」何度か叫ぶと返事が返ってきた。「よかったぁ」ようやく見晴らしのよいところへ出ると、乳頭、駒ヶ岳が見えるので雨はそれ程でもないようだ。横田会長が駒ヶ岳に登っているそうだが、どこいらへんにいるのか。今頃向こうでもこちらを眺めているかもしれない。地図を見ると、分岐までは傾斜がきついと覚悟をしてきたのだが、渡部さんが「まぁだ〜、もう帰ろうよぉ」というのを聞いて、私もそうだそうだと心の中でうなずいていた。分岐にたどり着き小休止をするが、吉田さんは「雨が降るとかえってファイトがわくの」と元気一杯。一年ぶりの登山とは思えない健脚ぶりである。
 分岐からは一度きつい登りがあったが、それを過ぎると楽な道になり道ばたに紫色のリンドウがポツリ、ポツリと咲いているのが妙に気になる。ふと、明日は彼岸明けであることを思い出し、明日は墓参りに行ってこようかなと思った。
 小白森山へ到着。はじめの予定は大白森だったが、ここから戻ることにした。道の向こうに小高い山が見えるが、あれが大白森山だろうか。道の左側に湿原が広がっていて、そこからは乳頭、駒ヶ岳の稜線が目の高さで見ることができる。雄大で美しいこの自然が、いつまでも変わらずにあることを願う。
 下山後、女性たちはミルク色の露天風呂に入り体を温めたのだが、入るのをためらっていると、「ついているものは皆同じだ」と言っているのを聞いて、それもそうだなあと納得してしまった。晴れた空のもとでの露天風呂は爽快な気分だ。
 反省としては、雨具の大切さを痛感。衣類は多めに乾燥しやすいものを選ぶこと。今回、一緒に山へ登った会員のみなさん、ありがとうございました。また山へ連れていってください。(平塚)

 9月25日、小雨を意識しながら市役所へと向かう。参加予定者がほぼ集合している。んーん、なかなか出来る!
 取りあえず登山口の鶴の湯へと向かうが、時おり雨が強く降るものだから秋空に一言、くたばっちまえアーメ。何時しか車は登山口に到着。相も変わらず雨が…
 準備を整え登山開始。鳥居をくぐり、神社の側を通り林道を横断し、本格的な山路を進む。蟹場分岐までの間、いたる所笹竹が登山道にかぶさってきている。ここ数年下刈りはやっていなかったんだナー。予想とはいい方には当たらないものなのか?
 小白森の玄関先では、リンドウが我々を歓迎するように咲き誇っていた。小白森は、たっぷり雨を含み、絵に描いたように湿地帯を成している。こんな大きな池塘があったっけー? 雨が間断なく降っている割には、駒ヶ岳、乳頭、八幡平の眺望が楽しめた。秋でんなぁー。(槇野)
 おまけ…「草色に秋雨寒しワイン色」 ペンネーム 真黄野  


H6年10月23日 白神岳

参加者

伊藤、小貫、一枝、船木、石川、渡部、安河内、遊佐、藤原(9名)

行程

秋田市役所(5:00)→白神平(7:40/7:55)〜二又口分岐(8:05)〜マテ山分岐(9:45)〜白神岳山頂(11:45/13:40)〜二又口分岐(16:00)〜白神平(16:20)

報告

 10月23日、市役所を5時に出発。ちょっと道を間違えながらも、無事に登山道入口まで到着。青森から参加の遊佐さん、安河内さんと合流し、出発。
 今回は紅葉を楽しみにしていたのだが、残念ながら葉の色は茶褐色でとてもきれいだと言えるものではなかった。それでも、見晴らしが良くなるにつれて、日本海の白い波、少し青みがかった海の色がとても綺麗に見えた。やはり、白神は、海を見ながら登るのが魅力だと思う。
 昼近くに頂上に着く。遠くには岩木山が見えた。そして、小屋での昼食。今回は、だまこもち鍋をやるということだった。日帰りで鍋を食べるというのは初めてだったので感動してしまった。鍋および食材を運んでくれた人たちに感謝しながら鍋を食べさせてもらった。とても美味しかったですよ、みなさん。
 また海を見ながらの下山。太陽に光が海に反射して何とも言えない光景でした。やっぱり、山は天気の良い日に登るに限ると思った。(伊藤)


H6年11月6日 虎毛山

参加者

伊藤、一枝、小野、吉田、藤原(5名)

行程

秋田市役所(5:40)→赤倉橋(7:45/8:00)〜水場(8:25)〜渡渉点(8:55/9:05)ヒノキ林指導標・840m(9:38)〜夫婦ヒノキ(10:10)〜ブナ林指導標・1100m(10:25/10:35)〜高松分岐・1234m(11:00)〜山頂(11:50/14:00)〜渡渉点(15:45)→赤倉橋(16:40)

報告

 山岳会に入って、10回目の山行が虎毛山となった。虎毛は、去年初めて泊まりがけの縦走登山をした思い出の山。10時間を経て山小屋にたどり着くまでには、暗くなった登山道に「限界…」とつぶやき、ザックごとあおむけになって動けなくなった事もあった。今となっては、この時の苦しい一歩一歩が何よりも自慢話と鳴ってしまうのが何となくおかしい。…そんな付き合いのある山にまた行ってきた。
 日暮れが早い、ということで早朝5:30に市役所前を出発。藤原さんの運転する車で、伊藤さん、一枝さん、小野さん、吉田がまとまって行く。午後から80%と予報された雨の心配も、明けてゆく空の色を見ながら「大丈夫…」と確信する。でも、「ぴっかぴかの雨具の出番もありますように」とひそかに祈った。
 赤倉橋から林道を歩きはじめて、間もなく水場を見つけた。小野さんが喜んでかけよる。「渡渉点…って水?」とちんぷんかんぷんの私の問いに、川を渡ること、と一枝さんと藤原さんの2人がかりで地図を説明してくれる。赤倉沢の紅葉は、今を盛りと目を楽しませてくれるし、丸木橋のかかった川のほとりには、木立の中にベンチがあって、ここは「赤毛のアン」の一場面”輝く湖水”の光景によく似ていた。
 川を越えてからは、登りっぱなしの急坂が続き、ヒノキの落ち葉の中を進みながら、「今年の登山は、もうこれっきりだなあ」と思うと、心さみしい気がした。小休止しながら向こうの山をふり返ると、少しづつ確かに登っているんだ、という嬉しい実感がわく。「頂上まで3回しぼります」といった藤原さんが、バンダナの汗を豪快にしぼった。登山日和となったこの日。すれ違う人たちとあいさつを交わすのも、また楽しいと思った。
 分岐を過ぎて稜線に出ると、目の前には紅葉の山並み。遠く向こうには、高松岳が見える。昨年は、夜のため景色がわからなかっただけに、今回はこの景色をしっかりと心の中におさめることができた。やがて三角屋根が見えて。12:00には山頂到着。
 小屋の2階では、一足早く着いた伊藤さんがお湯を沸かして待っていてくれた。先客もあって、虎毛の山小屋は大入りだ。大鍋に豚汁が出来上がると、一枝お母さんが「今日は二つあります」と言った。(えっ?二つ?)「小野ちゃんの結婚と、藤原さんのお誕生日おめでとう!」皆で「おめでとおー、おめでとう!」と日本酒で乾杯。持って来たはずが、車の中に置いてきてしまった一枝母のサントリーのダルマも、きっとこの席に加わりたかったに違いない。下山後、「あ、ここにあったあ〜」と一枝母が手にとった。
 さあ、温泉だ! と5:00時ころ、秋の宮の国民宿舎へ着くと、すでに営業終了。急遽泥湯の奥山旅館へ。ゆっくり温泉につかった後は、十文字ラーメンの夕飯をとり、家路へついた。
 今回の山行では、担当の伊藤さんから防寒対策についての配慮があり、大変参考となりました。次は忘年会。早くこないかな〜!(吉田)


H7年4月16日 太平山・赤倉岳〜奥岳

参加者

宮腰、槇野、一枝、石川、船木、吉田、藤原(7名)

行程

秋田市役所(7:00)→仁別国民の森(8:30)〜旭又登山口(9:00/9:10)〜赤倉分岐(9:45/9:55)〜笹森(12:00/12:15)〜奥岳(13:20/14:40)〜旭又登山口(16:20)〜仁別国民の森(17:00)

報告

 今年になって初めての山行。太平山である。昨年の7月にグリーンローズの子どもたちと一緒に登ったりはしたけれど、残雪の太平山登山は初めてだし、期待するものが大きかった。市役所を出発したのが7:00。「6:00集合とは気分的に全然違うね」とは皆の弁。旭又まで車で行けるかなと心配したりしたが、結局、国民の森止まり。旭又まで歩くことになってしまった。(所要時間30分)
 9:00に旭又に着き登山開始。しばらく行くと、水芭蕉が湿地帯に咲いているのを見つけ、出迎えてくれているようで嬉しかった。赤倉登山口には10分ほどで着いた。残雪の上に枯れた杉の枝がところどころに落ちていて、おまけに黄色味がかった花粉まで雪上に散らばっている。遠方を見れば、杉の花粉が風で飛び散り、空中に舞い上がっている。まるでモヤがかかっているよう。宮腰さんが、「薬を飲んでやっと花粉症が治ったのに」とさえない顔。自然は甘くはなかった。
 急な傾斜面を先頭の槇野さんの足跡を一歩一歩踏みしめながら登っていった。途中マンサクの花が三分咲きになっているのを見つけ。季節に素直になって移りゆく大自然の素晴らしさを肌で感じたりした。30分ほどで尾根に着き、標識が丁寧にビニール製布で覆われている。「ここからはブナ林だよ」と宮腰さん。標高600〜700mあたりからブナ林帯になるらしい。
 先頭の槇野さんが、「オーイ!見晴らしがいいゾー。」と叫んだ。小高い中間地点に着くと、なるほど全景が見渡せる。ここが笹森らしい。秋田市を眺めて、右手に馬場目岳が見え、左手前方に奥岳、剣岳、中岳が見える。「U字型に山があって中間に秋田市が広がる。」と宮腰さん。何気ない一言に教わることが多い。
 奥岳目指して再び出発。後ろを振り向くと今登ってきたコースが見渡せる。視野が広がっていて気持ちがよい。山頂近くになると、横風が強くなった。飛ばされそうになるのを必死で踏ん張りながら登っていった。ここまで来る途中、太もものけいれんが起きそうになり、だましだまし登ってきたが、山小屋を前にして足が引きつって登れない。悔しい思いで足を休ませていると、少し楽になってきた。ベテランの一枝さん、藤原さんも起きたというから恐い。登り4時間ちょっと。鳥海山に登るのと同じくらい歩いたのだから、筋肉の負担も相当なものだ。
 最後の踏ん張りで山小屋に着くと、旧会員の川上さんが他の二人とビールを飲んでいるではないか、久しぶりに我々の中に入って乾杯。一枝さんが豚汁の具を持ってきて、2台のコンロで煮込んだ。その豚汁の美味しいこと。おかわりして、やっと体が温まってきた。寒いときはやっぱりこれに限る。いつもの心遣いに頭が下がる。
 1時間あまり休憩して下山。石川さんからお借りしたソックスのお陰で、登山靴がぐっしょりでも温かい。かねがね、「雪のある山の下りは楽だ。」と宮腰さんは言っていたが、本当にそうだと思った。
 膝が笑うこともなく下山し終えたのが4時半ごろ。約1時間45分で下ったことになる。結構きつかったが、まだ余力があり、「全員健脚ぞろいだったな。」の言葉に「この位なんのなんの!」と言ったため、「じゃあ、今度は一番きついコースを行くか。とは宮腰さん。心地よい疲れが体一杯にひろがり、森林学習館の風呂に入って今日の山行の疲れを流した。(船木)


H7年5月21日 森吉山・様田コース(一般募集登山)

行程

秋田駅(6:15発)→森吉スキー場駐車場(8:40)〜コメツガ山荘・登山開始(9:05)〜一の腰(10:40)〜森吉神社避難小屋(11:00着)

報告

 年1回の募集登山であるが、毎年ながらいろいろと苦労がある。苦労ならやらなければいいと思うが、中止することはいつでもできる。しかし、続けるからこそ会員全員が一つのものに向かって進む、ということに大きな意義があると思う。
 一般の方々に、今年は20代の女性が4人も参加してくれたということは、これから大きな希望がある。山も若い人たちにやっと目が向けられてきたのかな。山といえば中高年、そんな時代が長く続いたので、若い人が山に来てくれると本当にうれしい。
 そういう人たちを大切にしていくのが「わが」会かもしれない。山の厳しさ、楽しさ感激、そしてマナーを教え、教えられながら、若い人に山に戻ってきてほしい!
 募集登山は大変なのだが、帰りのバスの一般の人たちの反省を聞くたびに、また来年もがんばるか、そんな思いで帰路につく一年一回である。みなさん、ごくろうさま。(横田)

 中高年の登山が盛んになるにつれ、若者の山離れが進んでしまった、というのがここのところの山事情です。山を歩いていて出会うのは、まあよくても30代以上。県外の有名な山は別として、県内あたりの山で同年代の登山者に会うことなんてはっきりいってありませんでした(学生ならたまには見ますが)。それだけに、今回の一般募集登山で一番嬉しかったのは、若い人が意外に多く参加してくれたこと。おじさん、おばさんばっかりだったらつらいなあと本気で心配していただけに、これは本当に嬉しかった。「アウトドア」といえば、「オートキャンプにバーベQ」なんていうのがはやっていますが、そんな中、こういくきつくてちょっとやばちい山登りに、しかも雨の中、文句も言わずに登る若い人がまだいるんだということは、とても新鮮な発見でした。同じ価値観をもてる人たちがいるということはとても嬉しいもんです。
 さて、今回は雨+ガスで非常によくない状態での山行となって、山頂はあきらめた訳なんですが、「ぜひとも上まで行きたかった!」という人が多かったのには、すごく済まないなあと思いました。「あの状態で上まで行きたいか?」という気もしますが、そこはやっぱり前の週にしっかり山頂を踏んでいるという余裕のせい? 会長と渡部さんに「判断任せるから」と言われて、つい慎重になってしまいましたが、決める前にみんなの気持ちを聞いておいた方がよかったかなあと、ひそかに反省もしています。
 でも、一番楽しかったのは、何といっても駅前での打ち上げ。ザックかついでザングツ引きずって居酒屋に入るという、学生時代以来の経験もしました。飲むはしゃべるは笑うはで、こういう山の仲間の気の置けない付き合いって本当にいいなあと酔っ払った頭でニコニコと考えていました。年代に関係なく付き合いのできるところがわが会のいいところ。ぶっつけた膝の痛みもアルコールにまぎれてどっかに飛んでいった?
 今シーズンの山もはじまったばかり。今年もバンバン山に行きたいと思っています。早くも次の山が楽しみです。(藤原)


H7年6月10日〜11日 摩耶山

参加者

宮腰、一枝、船木、幸二、孝子、栄子、藤原(7名)

例会でのこと

 一枝さんが登山計画書を例会前に作成して持ってきたので、例会では、全員で計画書を見ながら話し合いをして計画書に肉付けをする。”ん? こんなに一つのことを話し合うということはなかったのでは?”参加者も多く、充実した例会に満足、満足。

当日

 6月10日(土)くもり。秋田から、宮腰、藤原、一枝、船木、渡部。酒田から孝子、112号線分岐から栄子、の計7名。いざ摩耶山へ!
 登山口、10:30、標高260メートル。気温28度、快晴。1時間遅れで出発。登山口から橋を渡ったとき、橋の下にヘビを見た。(キャッ!!) 森の中に入っていくと、ウツギの花がたくさん咲いていた。「やっぱ、山はいいなあー。空気もうまいし花もきれいだ。」と思いながら、中尾根に入る。一の坂、二の坂、三の坂、どれもけわしいと思ったのは私だけだったろうか? 中尾根では、ヒメイワカガミ、オオバキスミレ、ユウレイタケ(ギンリョウソウ)などが咲いていた。また2匹目のヘビも見た。木の枝にとぐろを巻いていた。宮腰さんは、「俺はヘビがこわいんだ。」と言いながら通った。このほかに3匹目のヘビを見た人もいたらしい。
 三の坂が終わった所から、鉄バシゴ、鎖が連続する急坂だ。また、風化した花崗岩はもろく滑りやすいので心を引き締めて登った。宮腰さんが、「岩がもろくて石が落下しやすいので、落下したときは『ラク!!』と大声で叫ぶこと。」と言って注意してくれた。「ラク」と叫んだのは2、3回あった。途中、竹の花をたくさん見た。
 槍ヶ峰着、13:05、標高865m、気温23度。カタクリの花を見る。藤原さんが、あそこに咲いていると示してくれた。その時、ちょうど山頂をあきらめて帰ってきた登山者にあったので聞いてみたら、「あと1時間30分位かかるだろう」ということだった。リーダーを中心に相談した結果、
 1 当初計画の時間より1時間ほど遅れている
 2 山頂まで行った場合、疲れる
 3 キャンプ設営やバーベキューの時間がなくなる
などなどで、槍ヶ峰でUターンすることに決定した。その時、「山頂まで行けなかったので、また摩耶山に来るか?」という話になったとき、また来たいと言ったのは二人だけだった。
 登山口着、15:30。キャンプ設営では、宮腰さん、船木さんのりっぱなキャンプ用品が出た。おいしい空気。酒、ビール、ウイスキー、ワイン、バーベキューで最高に盛り上がった。(孝子さんいわく「もっと火遊びしたかった。」)
 6月11日(日)くもり。朝食後、ゆっくりコーヒーを飲んでいると小雨が降ってきた。10時、摩耶山を後にした。112号分岐で栄子さんと別れ、途中、鶴岡で長寿温泉に入り、帰途につく。
 16:40、秋田着。宮腰さん、藤原さん、運転ありがとうございました。おかげで夜の仕事は元気にがんばれました。(幸二)


H7年6月25日 白地山

参加者

吉田、田口、船木、藤原、亜由美(5名)

行程

市役所(4:30)→男鹿経由→大館市役所経由→桂楓台(9:00)〜白雲亭跡(10:40)〜ミソナゲ峠(11:30)〜997m分岐(12:35)〜白地山山頂(13:10/14:40)〜大川沢林道入口(16:05)→康楽館経由、清風荘入湯、夕食(大館の田口さんに案内していただく)→市役所(21:30)

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 十和田湖が歩きの疲れをまぎらわせてくれる。遊覧船の静かに進む湖は、まるで一枚の絵はがきのようだ。途中、草木の高く茂った道で迷いそうになったのもつかの間、二週間前に下調べで歩いた田口さんが正しい方向へと導いてくれる。雨を十分に吸った草が、この二週間でかなり大きくなったらしい。
 ミソナゲ峠辺りでは、タケノコ採りで忙しかった。皆で抱えきれない程のタケノコを採り、ザックの横からタケノコの先をツンとのぞかせて歩いた。笹地の道を後にして。大湿原の中にまっすぐのびる木道をカタコト進む。湿原の花は見ることはできなかったが、ここはどこまでも広くって、この日歩いた中で最も気に入ったところ。
 山頂では、船木さん持参の具のたっぷり入った豚汁をおいしくいただく。(急な豚汁のリクエストに応えてくれて嬉しいなあ!)初夏のすがすがしい山行でした。(吉田)


H7年7月15日〜16日 早池峰山

参加者

小貫、宮腰、横田、一枝、船木、吉田、藤原、小澤、飯坂

行程

1日目 秋田→河原坊(キャンプ)
2日目 河原坊(7:45)〜コウベゴオリ(8:45)〜山頂(10:40/12:00)〜小田越(13:40)〜河原坊(14:15)→秋田

報告

 一年前まで、山は私にとって遠くから眺めるものという感じでした。それが昨年の夏から山に行くようになって、気付いたら山は登るものへと変わっていました。すごく不思議な気がします。
 ところで、私にとって初めて登る県外の山「早池峰山」、感じたままを書きます。
 7月15日。前日まで降っていた雨がうそのようにやんで朝からいい天気。河原坊へ着き、テントをはり、まずは乾杯。オイシイ〜。自然の中で食べるごはんってホントにウマイ。辺りも次第に暗くなって、ランプの明かりを前に楽しいひととき。なんてぜいたくなんだろう。どっぷり自然につかっていい気分。
 7月16日。朝、とても気持ちよく目が覚める。いよいよ早池峰山に登るんだなあ。山を前に不安な気持ちと嬉しさがミックス。とにかくがんばってついて行こうという思いと、どんな花が見れるんだろう、どんな景色が広がっているんだろう、と心が踊る。
 初めは前を登る吉田さんの後ろ姿と靴しか目に入らなかったが、振り返ると薬師岳、岩手山。鳥海山もうっすら見える。上へ行けば景色がどんどん広がっていき、振り返るのがとても楽しみ。でもそれ以上に楽しみにしていたのがお花。ミヤマオダマキ、アズマギク、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、チングルマ、ハヤチネウスユキソウ、こんなにいっぱいいろんな花と出会えて本当に嬉しい。疲れもふっとんでいく。どんなきれいな花よりも、やっぱり山の花が一番好きだ。
 さて「頂上まであと250m」と言われた時、地上だったらすぐなのに山の250mは長いなあ。疲れもピークでだんだん足が上がらなくなってきたが、一歩一歩足を運べばいつかは着く。そう思いながらふと顔を上げると、一枝さんが両手をさしのべてくれ、「頂上だよ、お疲れさん」と笑顔で声をかけてくれた。心がホワ〜ンとあったかくなった。
 これも前から後ろからみんなが見守ってくれ、私の背中を押してくれたおかげだと思う。本当にありがとうございました。”AYH”とってもいい仲間ですね。笑顔いっぱい。感動いっぱいの早池峰山ありがとう! やっぱり山はいいなあ。(飯坂)

 思い続けていた早池峰山登山がやっと実現しました。ラジオで聞いた今井通子さんの言葉が忘れられずに、いつかきっと登りたいと思っていました。
 7月16日、薄曇り。朝7時40分、キャンプ場出発。左手に赤茶けた岩山が見える。あの稜線を登るのだろうか。少し緊張気味。この一週間あまり、貧血持ちの体を酷使せずだらけさせずで整えてきたが、不安は少し残る。
 薄曇りの木立の中の登山道を縦列で歩く。少しして木々の中にシャクナゲの花をみつけて思わず「ああ、キレイ。」雨に洗われて色の鮮やかなこと。一本の木にこれだけの数の花をつけていると、まるで盛花のよう。早池峰山のシャクナゲは豪華で美しい。
 何度か渡渉すると、少しずつ登りになる。水の流れを見ながら登るのは、疲れを感じなくていい調子。いつの間にか緊張もほぐれている。
 一時間ほどで最初の休憩。リュックを下ろして改めて山頂を見上げると、前にそびえる岩山の肌に点々と白いものが見える。「ルートです。」と藤原さんがおしえてくれる。
 10分後出発。ミヤマオダマキ、ハヤチネウスユキソウなどの花々が迎えてくれる。暑さの中、可憐で涼しげに咲く花たち。つかの間を競い合い、私たちにやさしい心をくれる。冬の長い眠りの間にやさしさと強さを蓄えるのだろうか。名前の知らない花もいくつか咲いている。一つの株に白い小さな花をたくさんつけた白いレースのような花、黄色いラッパの形をした木の花。ネジ花に似た白い花もひっそりと咲いている。地味で目立たない花にも同じ命があり、心を寄せて愛でたいと、いつも思う。
 しばらくはゴロ岩の道を花をながめながら登る。アズマギクやチングルマ、ムシトリスミレ、ミヤマハンショウヅル、登るにつれて種類も増える。遠くの斜面一面に咲く花をながめながら休む。
 休憩後、いよいよ登りがきつくなってくる。しっかりと岩の上に足をのせないと、バランスを崩してそのまま転げ落ちそうだ。もしここで転んだら、後ろから登ってくる人を巻き込むことになる。自分一人では絶対に済まないと思うと、身がひきしまる。だが、足が上がらない。重い足元をみてゆっくりゆっくり登る。もう周りをながめるゆとりもない。
 頂上は?と見上げたが、出っぱりの岩でその先が見えない。おりてきた人たちが「あと10分くらいで頂上ですよ。」と教えてくれる。登りの10分か下りの10分か、ブツブツとつぶやきながら大きく呼吸する。「少し休みましょうか。」一枝さんが声をかけてくれたが、そのまま登る。きつい場所ほど休んだ後の踏み出しが難儀なのである。あと10分くらいかなと思いながら顔を上げると、前を登っていたはずの船木さんの姿がない。突然、目の前に一枝さんの笑顔が現れた。「頂上!?」さしのべてくれた両手に力一杯の思いを込めて、タッチ! 登った、登れた。本当にありがとうございました。(小澤)


H7年7月29日〜30日 鳥海山・湯ノ台コース

参加者

一枝、小貫、船木、吉田、藤原(5名)

行程

1日目 市役所(6:35)→湯ノ台駐車場(10:00/10:40)〜滝の小屋(11:00)〜河原宿(12:00)〜あざみ坂(14:35)〜伏拝岳〜大物忌神社(16:05)(泊)

2日目 神社〜新山(7:00/7:40)〜あざみ坂〜河原宿(9:40/10:30)〜滝の小屋(11:30)〜湯ノ台駐車場(12:00)→象潟で入浴→仁賀保で昼食→市役所(17:00)

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 東北一の秀峰、出羽富士と呼ばれている鳥海山へ今年もまた登れる日がきました。山頂にビバークし満点の星たちと話をし、ご来光を仰ぎ、夜明けとともにそのシルエットを日本海に映す影鳥海を見たい!
 1日目、6時35分、メンバーも揃い荷物も積み込み、小貫さんの運転で出発。今朝の天気は薄曇り。ナビゲーターは藤原さん。上浜から見える鳥海山はドンと大きく雄々しい姿は美しく、青空の中に裾野を広げ、山頂から酒田方向に雲が煙のように流れている。
 10時、湯ノ台駐車場着。すでに満車。下の駐車場まで車を止めに行った。
 10時40分歩き始め。各自のザックはいつもより重く肩にずっしりと食い込む。水が入ったらもっと重くなる、石畳の広い道を進み、新しくなった階段状の橋を渡ると視界が開けて滝の小屋着11時。5分間休憩。呼吸を整えてから本格的な登りに入る。雪渓から流れる小川を渡り、八丁坂にかかる。花々の出迎えを受け、眼下には曲がりくねった白い車道と、遠くの山並みが望まれる。滝の小屋では元気に鯉のぼりが泳いでいた。
 12時、水の流れの高い音を聞きながら笹竹の道を抜けると、視界がぱっと開け、ニッコウキスゲ群落の見事な河原宿に立つ。心字雪渓を抱く外輪山がどどっと迫ってくる。思わず「キレイッ」と感嘆の声をあげる。風もなく太陽の日差しも心地よい。「昼食はここにしよう。」と意見が一致。小屋の前の石段に腰を掛け、清流の水を飲みおにぎりを食べました。
 13時、足元に注意して大雪渓に入る。スプーンカットが暑い日差しに溶け出していた。中間部では上半身裸でスキーを楽しんでいる若者がいてしばし見とれる。雪渓を横切って、流れを渡り草地を歩く。足元にはアオノツガザクラが「踏まないで、荷物を置かないで!」と言ってるように可憐に咲いていた。ミヤマキンバイやチングルマの長毛が美しい光景をみせていた。
 14時、高度計1,760m、風が強くガスの中10分間休む。荷物が重く誰もが疲れてきた。背中の汗を追い出すようにザックを置く。初めて大きなザックを背負った姫はまだ元気?
 14時35分、あざみ坂入口で休憩。雪渓を渡ってきた6人の若者が先に休んでいた。グレープフルーツが喉の渇きを潤すのには最適でした。14時45分、あざみ坂の急な石段を登り始め、あえぎながら足を持ちあげる。小さな白いダイモンジソウの花が「がんばって」と言っているように咲いていました。コバイケイソウの花の群落の曲がり角で、ハクサンシャクナゲの群落の斜面で目を休め、汗をふく。草丈が短くなって、風が強く顔に当たりはじめると、急な登りも終わり、伏拝岳だ。外輪の眼下に千蛇の谷の雪渓と石段を登る人の列。ガスが風に飛ばされると、切れ間から新山とめざす山頂御室が見え隠れする。「あともう少し」と心の中で言う。砂塵が口の中に入り、吹き飛ばされそうになりながら、一部新しくなった鉄はしごを下りると、千蛇の谷の切り立った岩の間にイワブクロが咲き、コメツガザクラの葉と茎がチカチカと痛いほどでした。
 16時5分、山頂御室着。風が強く、汗ばんだ体をどんどん冷やし、はじめ雨具を着込む。石で風よけをつくり、ご飯を炊く。何はともあれビールで乾杯! ビールの泡が吹き飛んでいってしまう。暗くなるほどに風はますます強くなり、気温もどんどん下がりはじめ、とてもビバークなどできそうにない… しかたなく小屋泊まりとする(3千円)。身の置きどころもないほどの混みようですが、シュラフを敷いて場所取りをし、やっとなんとか2回目の酒宴をしました。
 2日目、朝早くから騒がしい。でも体が目覚めない。風は相変わらず強い。ご来光は望めそうにないのでまた眠る。5時、小屋の中で朝食。ラーメンライスがおいしい。
 6時、青空の中でガスが吹き飛び散っている。千蛇の谷を見ていた藤原さんが、「一枝さーん、ブロッケンだー」と叫んだ。そばに立ち、並んで見るとサァーっと消えた。みんな待つ。ガスが来た。日が差し込むと「出たーっ」。手を振ると影も手を振る。「見た。ブロッケン現象、ついに見たぞ!すごい。そのうえに虹がかかった。」口を開け、目が点になったまま、カメラを構えたが、一瞬のうちに消えて、もう現れませんでした。
 7時、新山着。風の強いのはいつものこと、雲が湧き上がってくる。近くに月山、羽黒山の頂上が朝日に照らされて顔を出している。後ろは雲海。藤原さんは別の岩場に行ってしまい、姫は姫でなくなった。嬉々として猿のように岩の上を走り始め、新山の向かいの岩場まで行ってしまった。小貫さんもはりきって別の岩場に行った。個々に満足度を味わっているようだ。
 7時40分、山頂発。河原宿での一休みを楽しみに下るだけ。あざみ坂も下りは早い。雪渓も早い。登山道を外れて岩場の中を歩く。雪渓の切れ間から水が流れ出して洞穴のようになっている。しばし休み。
 9時40分、河原宿で大休止。おやつを食べる。10時30分発。滝の小屋着11時30分、小川の冷たい流れで顔を洗い、汗をふきとり、さっぱりしてから駐車場まで15分歩く…
 帰路、温泉に入っておいしいカキを食べてお腹も満杯。パーティのみなさん、ありがとうございました。(一枝)


H7年9月9日〜10日 焼石岳

参加者

宮腰ファミリー、幸二、一枝、小南、藤原、小澤、飯坂(10名)

行程

1日目 秋田市役所(8:00)→十文字(10:00発)〜大森山登山口(11:00)〜大森沢(11:35)〜釈迦ざんげ(11:55)〜よじべい(12:35)〜やなぎとろ(13:25)〜焼石沼(14:00)幕営
2日目 焼石沼(7:10)−山頂往復−焼石沼(10:35)〜やなぎとろ(11:00)〜よじべい(11:30)〜ザンゲ分岐(12:25)〜大森山登山口(12:56)

報告

 今年に入って初めての登山。前の日から準備はしていたのに、バイトから帰ってきたのが3時。待ち合わせの時間までに起きれるかどうか? やっぱり遅れてしまい、皆さんを待たせてしまってどうもすみませんでした。電話何回もありがとうございます。
 登り始めて30分、いつも思うのは、体力のない私にはつらく、なんでこんな所に来てしまったのだろうということ。
 励まされながら登り、初めてのキャンプ。途中、宮腰ファミリーと合流。夕食には残念ながら藤原さんの魚はなかったけど、すき焼き、おいしかった。渡部さんのたき火を見つめながらのちょっとした野外パーティ。時計の針が止まったような貴重な時間。一番心に残りました。とてもよい一日でした。
 次の日も朝は曇っていましたが、朝から山頂へ。岩場が多かったのですが、途中から天気も晴れてきて眺めも最高でした。下山途中も足がすべったりしましたが、帰りの温泉の後のビールがおいしかった。
 のんびりした時間が多い二日間。とっても楽しかったです。遅れてきてすみませんでした。(小南)

 焼石岳に行ってきた。渡部さんの運転する車に一枝さん、小澤さん、飯坂さん、それに私が乗り込み、市役所前を出発。当初同行予定の宮腰さんは、家族で別途参加。現地で落ち合う予定である。途中、十文字で小南さんをピックアップして、東成瀬村の登山口へ向かう。ナビゲーター(藤原)の指示違いで道に迷ったりしながらも、無事登山口へ着いた。
 少しヤブめいた道をつめていくと、トラバースから尾根道へ、そして沢筋へとバリエーションに富んだコース展開である。沢筋で一本とったところ、トリカブトの花をみつけ、歓声を上げる。初めて見るトリカブト。濃い紫色と複雑に重なった花の形が何やら毒々しくも凶々しい感じがする。先に進むと何のことはない、トリカブトの花だらけであった。
 樹林帯に入り、ひたすら登山道を進む。もう少し、もう少しと言いながらもなかなか着かない焼石沼テントサイト。やっと着いたそこは、草原と、冷たい水をたたえた沼のある山上の別天地であった。ビールでさっそく乾杯しているうち、宮腰一家も到着した。
 その晩は、すき焼きの夕食のほか、渡部さんの手による盛大なたき火が起こされ、他に誰もいない中、火を囲んでの酒宴となった。
 あくる朝、宮腰一家は早々に下山。渡部さん、小澤さん、飯坂さん、小南さんの4人は山頂ピストンに出かけ、残る私と一枝さんは、釣り、昼寝とゆっくり時間をつぶした。下から山頂を見るとガスの中だったので、展望は望めないだろうなあと、一枝さんと話す。下りてきた登頂組によると、やはり山頂はガスの中だったものの、しっかりビールで乾杯してきたとのことであった。
 下山後は、登山口にほど近い温泉・ジュネス休養センターで汗を流し、遅めの昼食をとって帰ってきた。今回も楽しい山行となった。魚が釣れなかったのが唯一の心残りではあった。(藤原)

メモ

 盆休みの8月12日のこと。沼のそこここから聞こえてくるバシャンという水音。目をやると30〜40センチはあろうかというサカナが、キラリ光っては水に落ちる。「ここに竿とルアーさえあればなあ。」相棒と二人、焼石沼のほとりでキャンプをしていた私は、目の前のタカラモノに手も足も出ないもどかしさに口惜しがりながら、次第に暗くなっていく水面を眺めていた。
 そのほぼ1ヶ月後、折しもAYHの焼石岳山行が予定されていた。私もあの時の悔しさを晴らそうと、ホコリのかぶっていたルアー竿とリールを引っ張り出し、新しくルアーも買い込み、山行に臨む。
 一人意気込む私に対し、皆の反応は少しばかり冷ややか。そんな中、宮腰さんちのゆうすけくんとわかなちゃんだけが私の味方であった。
 一日目はもちろん、二日目も山頂ピストンにも出かけず竿を振り続けた。結果は×。ルアーのあとを小さいのがついて来るのが見えるものの、近くまで来ると引き返してしまう。エサを付けて浮き釣りも試みたものの、反応は皆無というおそまつ。完敗でした。(藤原)


H7年10月8日 白神山地・二ツ森

参加者

平塚

報告

 二ツ森登山計画担当者である私は、ガイドブックを探しに書店へ足を運んだが、白神岳のように有名な山ではないので、なかなか見つからない。頭を悩ませていたある朝、北羽新報に八森町主催の二ツ森登山参加者募集の広告がのっていた。これ幸いと、当日、事前申込なし、集合場所である八森ぶなっこランドへ向かった。駄目でもともとと思い、受付へお願いしたら、運良くOKで、3千円を支払い、参加することになった。
 登山口までは、八森ぶなっこランドから車で40分ほど登る。途中、紅葉にはまだ早かったが、三角おむすびのような真瀬岳、その左手には白神岳、向白神岳等の峰々を堪能しながら、青秋林道の終点へ到着。3年ほど前に来たときとは違い、トイレが設置され、展望台まで建てられている。白神山地案内図の横から登山道へ入っていき、右折すると輪切りにした木道があり、左へ少し登ると三町境(945m)のピークに達する。二ツ森方向へ向かい、道は15分ほど下り坂が続く。時折、野鳥の声が聞こえ、道の脇には所々赤いテープに木の名前が書かれていた。ブナの実は6〜7年に一度豊作になり、今年はちょうどその年にあたるのだが、天候が悪くあまり豊作にはならなかったそうだ。やがて、木で整えられた階段より上り坂が始まる。道幅は狭く急なため手をつくこともあるので、手袋は用意した方がよいだろう。また、登山道は木の根っこが占領し足場が安定しないし、ぬかるみも多いので下山時には注意が必要である。
 ダケカンバとチシマザサの合間をたどってまもなく二ツ森山頂(1,086.2m)へ達する。頂上は狭いが、周囲をさえぎるものがないので、晴天に恵まれれば360度の展望が楽しめる。コンクリートの小さな建物の中に360度の山を写した写真が入っているはずなので、山並みと照らし合わせてみるとよい。北東北には、とんがり帽子のような岩木山(1,625m)がひとつだけドーンと目立っている。双眼鏡で覗いてみると、山頂の少し下を走る自動車のガラスがキラリと光る…
 現在、保全利用地区も保存地区のように保存していこうという話があるそうで、11月中に決定されると来年からは自由に二ツ森へ入山できなくなる恐れがあるので、一度は登ってみたいと思っている人は、今回が最後のチャンスかもしれない。登り50分、下り30分の手軽に登れる山なので、私のように最近ちょっと体力に自信のない方もどんどん参加してください。(平塚)


H7年12月17日 太平山

参加者

横田、宮腰、一枝、石川、船木、さよ、藤原、中野、番場、阿部、鵜飼(11名)

行程

さとみ温泉(7:18)→(一路旭又へ、途中から引き返す)→仁別植物園(9:20)〜二手の又登山口(10:30)〜前岳小屋(11:45/13:45)〜二手の又登山口(14:15)〜仁別植物園(15:00)→さとみ温泉(15:20)

報告

 「ホントに行ぐんだが?」という声があちこちから上がったさとみ温泉駐車場。前日の天気予報でも「これだば確実に中止だべな」と思わせるような様子。参加予定のお仲間も一人二人と欠けていて、極めつけは車も出し参加するハズだった渡部氏、前日の忘年会の二日酔いで、車だけおいて早々に帰った。
 うむを言わさず出発した2台は、当初の当番(藤原、石川、渡部)の予定(前岳)そっちのけで奥岳方面へ。積もる雪をものともせずに、ごいっごいっと進んで行ったが、ついに途中で埋まってしまい、押したり引いたりして、脱出。Uターンして前岳に向かうかに見えたが、前車、一瞬にして消えてしまった。前車の乗客3人を残したまま、待つこと約1時間。やっと現れ、男車、女車連なって植物園方面へと引き返した。
 今回は久々に横田会長の参加でにぎやかしく、ハプニングも多く、楽しく(?の人もいるかも)行ってきました。忘年会では肴にしようね。(さよ)


H8年1月2日〜3日 白神岳

参加者

宮腰、一枝、藤原、中野(4名)

行程

1日目 秋田(6:15)→黒崎・車止め発(9:35)〜駐車場(10:25)〜最後の水場(13:00、昼食)〜白神岳山頂小屋(17:30)泊
2日目 白神岳山頂小屋発(9:20)〜駐車場(13:03)〜車止め着(13:40)

報告

 1日目、昨年の計画が今年になりましたが、真冬の白神岳に登る、夢のような出来事でした。こんな嬉しいことはありません。当初のメンバーが大幅に減ってしまい4人になりました。藤原さんの車でメンバーを拾いながら、黒崎村へ…
 山道へ入ってまもなく車を止めて身支度。山スキーやワカンを付けて車道を歩く。夏場の泊まり山行よりも重い荷物を背負っての行動は一苦労です。駐車場(登山口)までの長いこと、つぼ足の方が楽かな?と思った。
 二股コース分岐にスキーをデポして、ワカンの男性3人が先頭、最後がつぼ足の私です。ザックの横に付けたルート旗が木の枝にとられ、何度も何度も後ずさりしたり、しゃがんだりしながら…、木の枝についた雪は、声も出ないくらいに美しい花を咲かせていた。太陽の光が差し込む中で、海を見ながらひと休みをし、軽い食事をとる。交代でラッセルをしてくれる3人に感謝しながら、斜面の樹林帯を進む。
 最後の水場で昼食をとる。疲れた体に熱いコーヒーがとてもおいしかった。ここから、ストックをいっぱいに差し込みながら直登。3人のラッセルの交代間隔が短くなり、何度となく交代が続く。なかなか尾根上に着かない。だんだんと疲れが増してくる。
 マテ山付近から、ルート旗を差し、赤テープを枝に巻き付けながら進む。いつの間にか、林の中からは真っ赤に焼けた夕陽が日本海を燃やしたように見えだしたが、まだ最後の急登にも着かない。
 ヘッドランプを装着しながら、やっと稜線に立つ。夏場ならお花畑で花々が目を楽しませてくれるところだが、今日は黄色の大きな月がただ真っ白く雪原を照らしてくれた。歩数を数えながら、30歩くらいのところでルート旗を差す。旗がなくなり、最後は6本のストックを差すこととなった。暗闇の中、先頭を歩いている藤原さんが見えない。ライトの灯りがないのだ。まもなく山小屋のはずだが見つけられない。「オーイ、藤原ァー。」「藤原くーん。」返事がない。心配がつのる。しかし、目の前に山小屋があった。「あったー。」「小屋だっ、小屋だー。」藤原さんがいた。雪原の中に黒々として穴があり、屋根だけが見えていた。とにかく全員がへとへとだった。今回の山行だけではないが、冬山の時いつも感心させられるのは、リーダーのどっしりした落ち着いた判断のとり方です。(注:ルート旗も底をつき、ここで吹かれると小屋を見失う危険があった。月明かりがあるうちに一刻も早く小屋を見つけなければと、遅れる後続を引き離してしまったもの。心配をおかけしました。藤原) 
 3階の窓から中に入り、2階に陣取りをし、貸切りの中で食事をし、ウイスキーのお湯割りで乾杯をした。ヘッドランプとガスランタンで灯りとりをし、2台のコンロを焚くと、その熱気で冷気を感じなくなった。柔らかい灯りの中で酒が進むにつれ、夜も更けていきました。10時に寝る。藤原くんも中野くんも軽いいびきをかきだした。お疲れさま。寝袋の中は意外と温かかった。
 2日目、5時50分ころ藤原さんと宮腰さんが目覚める。6時ころ全員目覚め、早い朝食に取りかかる。白粥に卵を入れ、鶏肉の出し汁に我が家で搗いた餅を入れた雑炊です。
 7時日の出。360度遮るものがない山頂で、御来光は真っ赤に、幾重にも重なった峰々の向こうから顔を出しました。4人だけの朝日です。新年明けましておめでとうございます。白神から見る雪をかぶった岩木山は、いつもより雄々しい姿をしていました。頂上に踏み跡を残し、下山です。空は真っ青でどこまでも見渡せます。
 下山時、突然風が強くなり、歩みを進めることができずしばししゃがみ込む。突風を避けて林の中へ逃げ込んで小休止、温かい甘い紅茶を飲む。
 下りは何といっても速い。13時3分に駐車場着。分岐からスキーを拾い、肩にかけたり引きずったりしてきたので、今度は車道を一気に滑っていく。
 天候に恵まれた今回の山行は素晴らしいものでした。宮腰さん、藤原さん、ありがとう…!(一枝)


H8年8月3日〜4日 鳥海山・鉾立コース

参加者

船木、飯坂、渡部ファミリー(5名)+2日目一枝、中野(計7名)

行程

1日目 秋田市役所(15:05発)→象潟キャンプ場着(17:15)キャンプ泊
2日目 象潟キャンプ場(6:40発)→鉾立(7:22/8:00)〜県境(8:30/8:35)〜賽の河原(9:07)〜御浜(9:50)〜八丁坂(10:20/10:30)〜御浜(11:00/休憩/12:00)〜鉾立(13:20/13:52)→シーサイドホテルで入浴→秋田市役所(17:20)

報告

 8月3日(土)晴れ。船木、飯坂、妻、娘、計5名の参加。第1日目は象潟キャンプ場でバーベキュー。第2日目は鳥海山へ。同時に海と山へ行けたことは最高の喜びだった。今回の計画書はなかなかよくできていると思った。(船木さん作成)
 キャンプ場ではさっそくテントを張り、バーベキューの段取りにかかった。その日のメニューのカニは自分が捕ることになっていた。カニは日没後30分前後が勝負だ。カニも上がってきて捕れだしたが、子どもとバアさんが私の後ろにつき始め、カニがびっくりして捕れなくなった。それでも、約○時間くらいがんばって5匹捕れた。その後、みんなでビール、バーベキュー、カニ、スイカで酒盛りをして大いに盛り上がった。
 8月4日(日)くもり。象潟コース、5合目鉾立1,150m。7:40、ここで中野さんと合流することになっていた。一枝さんも中野さんと一緒に来てくれた。計7名で登ることとなった。登山口でもうガスが深くなり、周りがよく見えない。
 風も出てきた県境付近で、妻と娘は遅れるからと言って別行動となった。雪渓もまだ残っていた。雪渓ではロープで道案内してあり、安心した。どこまでもガスが続いて、手、顔にべたべたした露がついてきた。寒くなってきたようにも感じてきた。風も一段と強くなってきた。でも山行で気持ちを和ませてくれたのは、鳥海山の高山植物たちだ。チョウカイアザミ、ニッコウキスゲ、モミジカラマツ、ハクサンチドリ、クルマユリ、ハクサンフウロ、ウサギギク、ハクサンシャジン、チングルマ(綿毛)、ハクサンイチゲ、イワカガミ、ウスユキソウ、ヤマユリ、(八丁坂で)チョウカイフスマ… すばらしい花の行列だ。
 八丁坂付近でもガスがかかっており、今まで見せてくれなかった雪渓と山々をガスカーテンでサアーッと引き、サアーッと戻す自然の素晴らしい景色を見せてくれた。全員しばらく見とれていた。
 風がますます強くなってきた八丁坂でUターンをすることにした。(妻と娘は御浜でUターンした。)(幸二)

 真っ盛りになった華麗な高山植物がよかったです。頂上まで行けなかったのは心残りですが、全く視界が開けず、八丁坂で引き返したのは正解だと思います。というよりも、午前8時ころの出発で、日帰りで山頂まできわめるのは、多少無理があったのではないでしょうか。特に夏の山行は、高山植物を観賞することも多く、足が止まりがち。鳥海山は、1泊2日のゆとりある日程の方がよいと思いました。(中野)


H8年8月26日 鳥海山・二の滝コース

参加者

小貫、伊藤、一枝、さよ、ゆめ、藤原、飯坂(7名)

行程

一の滝駐車場(8:15)〜二の滝(8:40)〜三の滝(9:20)〜森の清水(10:30)〜喜助平(11:20)〜不動滝(11:35)〜昼食・休憩(12:10/13:40)〜森の清水(15:00)〜三の滝(15:55)〜一の滝駐車場(17:00)

報告

 電話に出ると、一枝さんの「行くよ」の声に思わず我にかえった。そうだ、今日は鳥海山に行く日であった。市役所に着くと皆さんそろっていた。約45分遅れ。(皆さんスミマセン…)
 ルートは終始、水の音が聞こえる。沢沿いのブナ林を行く涼しいルートでした。(小貫)

 今回は、新調のトレッキングシューズと子ども用ザック着用で参加のゆめも一緒ということで、皆さんにご迷惑をおかけしないようにしよう、したい、との決意を込めての参加。「腹へった」の「疲れた」のと言うゆめに、健脚の皆さんなのによく付き合ってくださって、ゆめも共に森林浴を楽しめた。もち!わたしも。(AYHのメンバーって優しいところもあるんだなァー。)(さよ)

 二の滝口は初めてのコース。こういうルートがあることさえ知らなかった。登山口の一の滝から始まり、不動滝まで様々な姿の滝と出会った。一本でものすごく迫力のある滝、すだれのようになっている滝、二段になっている滝、目で楽しみ、耳で楽しみ、心で感じ、それぞれに趣があった。この滝がすべてどこかでつながっているんだろうなあと思っただけで、自然のすばらしさ、大きさを感じる。しかも、鳥海山を歩いているなんて信じられない。鳥海山のずーっと低い位置から登ったからこそ、こういう渓谷、滝とめぐり会えたのだろうなあ。ブナ林もきれいだったなあ。今年の夏のよい思い出がまたひとつ増えた。秋の晴れた日に、紅葉を眺めながら、1泊2日で登れたら最高だろうと思う。(飯坂)

 駐車場からすぐ赤い鳥居をくぐって、良く整備された歩道を歩く。20分位で轟音をたてて高さ40m位で二条に分かれた姿は、まず最初に見た二ノ滝。さすが滝めぐりコースだけあってものすごい音とすばらしい姿でした。「一寸休んで私を見てください」といわんばかりです。
 橋を渡ると、巨岩が立ちはだかり、急な階段と巨木の中を本格的な登りとなる。左手に木々の間から渓谷を眺めながら歩き、三ノ滝、玉粋の滝、額絵の滝と見え出す。ザックをおろし、見やすいところまで行って「オーッ」と声を発し、「この滝は男らしいとか女らしい」とか言いながら…。
 沢を少し離れて、今度はブナ林の中のやや平坦な道を進む。林の中は、杉林と違って明るくて気持ちが良い。伝喜多小屋跡、森の清水までは積雪のために変形したブナが多く、これもまた目を楽しませてくれる。少し遅れていたさよさんとゆめちゃんが伝喜多小屋跡の休みの時に追いついてきた。ここから一緒に歩く。急いで頂上を目指す山行でもないし、13時まで目的地(鳥海湖)に着かないときは戻る計画だったので、ゆめちゃんの歩きに合わせた。おかげでじっくりとあたりを見ながら、疲れずにすんだ。でも汗はしっかりとかいたけど… ブナ林の中の木漏れ日がやわらかだ。
 森の清水からは急登となり、小さな沢を何度も渡り、喜助平のあまり広くないところに着く。目の前に庄内平野と日本海を見て、酒田港を望み、また一服。ウスバカゲロウがひらひらと飛び回り、小貫さんの指で休んでいました。やがてあたりが灌木に変わり、竜ヶ滝が見え、不動滝がどっしりした姿で見え出しました。平たくてそんなに高くはないが、山の緑の中に白く太い二段の滝がゴーゴーと音を響かせていました。少し行くと見晴らしの良い大きな岩場があって、急に展望が開け、まわりの山々が…谷の様子が…。なんだ4時間も歩いてやっとここかとちょっとがっかり。それにしても何と深い沢。今まで高い鳥海山だけに接していたんだなぁ。まるで別の山へ来たような感じでした。深い沢だけに、他に登る人もなく、自分たちだけのパーティで静かにゆっくりと自然に触れることができ、なによりでした。秋にはもう一度来てみたい。紅葉もきっと美しいだろうなぁ。
 結局は月山沢の徒渉点で、大きな岩だらけの河原でビールを冷やし、乾杯。また少し遅れ出していたさよさんとゆめちゃんはとうとう乾杯には参加できなかった。彼女たちは沢上の大きな岩の上で乾杯したかな。今回参加できなかった皆さん、今度は泊まりでアタックしませんか。(一枝)


H8年9月15日(焼山)

参加者

小貫、幸二、船木、藤原、飯坂、中野、美幸夫妻(8名)

行程

後生掛温泉〜毛せん峠〜焼山避難小屋(昼食)〜名残峠〜毛せん峠〜後生崖温泉(タイム記録なし)

報告

 初めて登る山は、やはり胸が踊り、”どんな山かな”と期待してしまう。登り組は、リーダーの小貫、サブリーダーの藤原、幸二、中野、飯坂、美幸夫妻と船木の8人である。後生掛温泉(標高1000メートル)の裏が登山道になっており、リーダー、その後に美幸夫妻と続いた。途中、リンドウ、ゴゼンタチバナ、ツルリンドウ、ユツバヒヨドリ等が目を楽しませてくれた。ブナ林を見上げながら登っていくと展望が開け、後生掛温泉、大沼、地熱発電所の白い蒸気が眼下に見渡せた。
 毛せん峠に着くと、低木のため視界が急に広がった。ガンコウランが斜面をおおっていたが、その群生は目を見張るばかりである。コケモモやイソツツジが混じって入っているのもおもしろい。ガンコウランやイソツツジは湿地や火山性砂礫地でよく群れになるというのがうなずける。ガンコウランは雪解け後、間もなく花が咲くらしいが、一度見てみたいものである。アカモノやシラタマノキもすでに実がなっていて、ところどころに姿を現していた。
 焼山山荘の前で昼食をとることになり、小貫さんのシートに皆して座った。ビールで乾杯。豚肉に味噌をまぶして持ってきてくれたり、ダシを持ってきてくれたり下ゆでの材料もよかった。早く煮え、とっても美味しい豚汁ができた。藤原さんが煮てくれたのも、おいしさを倍増させた。
 鬼ヶ城を経て、名残峠まで約30分。乳白色をしている火口湖(?)は、蒸気をあげていて不気味だ。焼山山頂めざせとばかり登っていったが、ヤブが道を塞ぎ、途中で断念せざるを得なかった。しかし、岩手側から森吉山が美しい裾野を広げていたし、駒ヶ岳もきれいに見えた。前日の雨が上がり、景色が美しく見晴らせたのはラッキーでした。
 後生掛温泉で汗を流し、田沢湖の宝風で、きのこのかまめしを食べた、これがまたおいしかったんだなぁ。時間的に予定をはるかに超えた山行だったが、美幸夫妻には、これにこりずにまた参加してもらえれば嬉しい。(船木)


H8年12月22日 太平山(A班奥岳、B班前岳)

参加者

A班 横田、宮越、一枝、小澤、横田ファミリー、宮越ファミリー、番場ファミリー

B班 幸二、さよ、船木、中野、藤原、飯坂

行程(B班)

さとみ温泉(6:00)→植物園入口(6:50)〜登山道入口(7:50/8:00)〜前岳(9:20/12:00)〜植物園入口(12:40)

A班報告

 初めて登った冬山は、思っていたよりつらかった。なんてったって、みたらしまでなんか、「ここだなあ」と思っても、みたらしじゃない! とってもつらかった。でも、帰る時は最高におもしろかった。登りはつらくても、帰りはあっというまだった。今度はどこに登るのかな?(明日香)

 12/22の太平山奥岳は、今年最後の山行としては充分すぎる位、満足のいく山行でした。少しばかりの雪の上を御手洗まで! その上は長靴の出番。降り積もった真っ白の樹海の中を先を行く小さめの足幅と足跡につまづきながら頂上まで。鳥居のしめ縄に頭をガチッとぶつけてハッとしました。雪は思いのほか積もってました。昼食は雑煮でした。(一枝)

B班報告

 雪の太平山ということで、みんなの希望ははじめからおのずと二つに分かれた。奥岳じゃないと行かないという人に、奥岳だったら行かない、という人。例会での打合せでは中々話はまとまらなかったが、参加者そのものが多かったこともあって、結局、奥岳往復のA班、天候次第で奥岳か前岳かというB班の二班に分かれていくことになった。ぼくはB班の班長である。
 そして当日。朝から雨もようだったので、集合したさとみ温泉駐車場では、B班は即、奥岳を断念し今日は前岳までと決定。奥岳を目指したA班は大変だろうなあと話し合いながら植物園を出発して、ストーブのある前岳の小屋でゆっくりとゆっくりと時間をかけ(何しろ朝が早かったので時間はいくらでもあった)、豚汁を楽しんで帰ってきた。心配していたA班のほうも、無事奥岳の山頂を踏み、小屋でも暖かく過ごせたとのことで、めでたしめでたし。
 できればみんなで一緒に行けるにこしたことはないけれど、今回は平成8年最後の山行ということで参加者も多く、めずらしく班分けでの山行が実現しました。たまにはこういうのも悪くはありませんが、同じ分けるにしても山頂で合流の交差登山などという形にすればもっと楽しいと思います。来年はいっぺんこうした登山にも挑戦したいと思っています。(藤原)

 12月22日。さとみ温泉に全員集合。冬の朝6時といえばまだまっくら。天気は雨もよう。奥岳へ行くA班と前岳へ行くB班に分かれ、それぞれ目的地をめざし出発する。
 B班のメンバーは、幸二さん、さよさん、船木さん、中野さん、藤原さん、私の6人。私は寒さに弱いため、この日のためにあたたかい手袋と帽子、防寒下着を新調した。少しずつ山の物が増えていくのもまた楽しい。
 さてB班は、植物園から歩き始める。雪を一歩一歩ふみしめながら1時間ほどで登山道入口に着く。うさぎの足跡をみつける。何かそれだけでとっても嬉しくなる。動物は人間の足跡を見てどう思うんだろう?
 下界は雨もようだったが、上へ行くにつれ、雪へ変わってきた。枯れ葉がおち、どこかさみしかった木々たちも再び雪によって美しくなる。雪化粧された景色の中にこんなものをみつけた。下へおちずに、木の枝にひっかかっていた栗が一つ。おもしろいなぁー。
 2時間半ほどで前岳小屋に到着。朝早かったのでさすがに誰もいない。昼食には早かったが、とん汁(なめこ入り)をみんなで作り、食べた。体もあたたまってとってもおいしかった。前岳の小屋は、ストーブもありゆっくりとあたたかく過ごすことができた。
 A班も無事、山頂をふみ、小屋でもあたたかく過ごすことができたとのことで、2班に分かれたがそれぞれ満足したのではないだろうか。毎日眺めている太平山だが、登ればなお親しみがわいてくる。(飯坂)


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